「傷跡」

何で追いかけなかったんだろう
立ち止まって振り返ればわかるはずなのに
周りが見えていると勘違いしていた馬鹿な自分がそこに居て
走り抜けた未来は　小さい頃に思い描いていたキレイな世界とはまるで違っていた
それでも今更そこから抜け出すことなんてもう出来ない程　大人になっていた

矛盾を抱えて生きるのが大人だなんて誰が言った？
そんなのただの負け犬の遠吠えじゃない

…――あぁ　私の言い訳だった

いつの間にか良い歳した大人になっていて
取り残された私に残ったものはぼんやりと霞んだ未来
それでもやっぱりあの時夢を追っていたらなんて
安定を求めた末にそれすら手に入れられなかった惨めさから逃げ出したくて

始めから違っていたんだ
生まれた環境が違う　だから　なんて　また
言い訳を重ねる度に重くなるのは自分の心なのに
心をすり減らしては笑って　悪いのは自分だと自省する
数え切れないほど沢山の選択肢を選んできたのは結局　自分自身なのだからと
増える傷跡　気付いた頃には手遅れてもう戻れない
傷の上に塗り重ねた偽りで固めて瘡蓋にして閉じ込める
守ってきたものって何だっけ　ちっぽけな…

繰り返す日常は流れ作業のようで
失敗を繰り返しては少しずつ変わる心の変化
何処かで変わりたいと願う　私の思い
振り返れば頑張ってきた過去が背中を支えているのに

気付かずに　良い歳した大人になっていて
取り残された私に残ったものはぼんやりと霞んだ未来
それでもやっぱり諦めたくない　なんて
じんわりと癒えて行く瘡蓋に手をやって　未だ良い大人になりきれない自分に小さく笑った

ライセンス

傷跡

菜緒

パワーコードPさんの歌詞募集（http://piapro.jp/content/gyjwclkw3n6xkvrf）で作った歌詞です。

何かを諦めて歩んできたけれど、どこかでまだ期待している、
誰にでもありうる心境。

曲と巡音さんの歌声からそんなイメージが湧き、出来上がりました。
沢山の言葉を詰め込んだので文字数が多くなってしまい申し訳なく…。
適度に変えて頂いて構いませんので、その辺はお任せします。

素敵な曲に応募させて頂き、有難う御座いました！