A
真珠の乳白(にゅうはく)の 
光さえも
死に絶える 暗闇(くらやみ)

琥珀色の魚(いお)の 
鱗(うろこ)流れる
水底(みなそこ)の岩山

B
頭蓋(ずがい)の眼窩(がんか)のよに・・・
窪(くぼ)んだ孔(あな)が 招いた

S
泳ぎ進み 水面(みなも)へ出(い)できて
 覗いて見るはこの世のものでなく
冷えた空気 震える背筋が
 気づかぬ後ろに誘う者があり
 
忍び込んだ 岩窟(がんくつ)の洞(ほら)
 こぼれる宝石をこの手に得ようと
香りほころぶ 緋色の羅紗(らしゃ)を
 まくると始まる終わりの調べはカーヌーン

(間奏)

A
踏み込む足音が 
皆(みな)を醒(さ)ます
起き上がる 亡霊

スルタンが命じる 
捕らえ排せよ
盗掘(とうくつ)の輩(やから)を

B
斑(まだら)の模様の紐(ひも)
狭(せば)まる穴の奥へと

S
囲い追いて 縛るはその足
 足掻(あが)けど見るはこの世のものでなく
冷えた空気 震える背筋が
 気づかぬ後ろに誘(いざな)う者がある

物を言わぬ 下僕(しもべ)が見せた
 ゆるがぬ王者の証(あかし)の紋様(もんよう)
叫び泣けど 届かぬその声
 囚われた部屋はこの世では決して

纏(まと)う衣(ころも)に 香るは抹香(まっこう)
 叩くはタラブッカ その音(ね)に酔いしれる 
香りほころぶ 緋色の羅紗を
 まくると始まる 終わりの告げ歌

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

【KAITO】スパイラルケイブ

採用していただけました!→http://piapro.jp/content/ypeeia9s6v73xz06
(応募先の紀ノ伊さまより部分的に改善していただきました。)

イメージ:架空のアラビアンコーストの海底に沈む岩窟遺跡(入り口だけは水に沈んでいるけれど、中に入ると洞穴が蟻の巣のように広がっている場所)もう滅んだ王朝の遺跡なのだけれど、そこに入るものは二度と戻らない・・・みたいなイメージです。
語注:
カーヌーン=アラビアの弦楽器
スルタン=アラビア語で王族の意
タラブッカ=アラビアの打楽器
斑の紐=ご存知かもしれないですが・・・毒蛇のことです。ここでは”案内人”の化身役。

閲覧数:160

投稿日:2009/10/11 15:32:27

文字数:596文字

カテゴリ:その他

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