さあさ　ごらんあれ
現われたるその姿
見目愉快なる道化の手

星を目に描き
片の口端歪めて
朱の雫頬に浮かべて

ほら　三つの三日月
那由多に増すべきだ！
金の欠片　集め
あなたは今もまだ何も知らぬまま笑う
幕は開いた　饗で溺れてく

真紅の花弁　散らせて描くのは
狂い乱れた舞台の旋律
道化師は笑う　願い空へ託し
「せめて導かれたまえ」と…手を翳し

何も写されぬ
全てを隠し固めた
色は深雪に似た化粧

赤色の涙は
敗北を重ねて
花の色に裄を失った

まだ解せぬ自我問う
「囚われたのならば　逃げるべき」と叫ぶ
「やめて！また塗り替えられてく…」

双眸見開き　また花が咲き散る
土にも似た塊を眼下に
道化師は笑う　笑いて踊り舞う
頬の雫がまた一つ

でも　ほら見てごらん
あなたはそこにいる
わかってるでしょ？　既に…
濡れた手は灯火の残り香を湛え
ほら　今日も浮かんだ。
三つの三日月は…

星月が踊る　さあ上がっておいで
今宵　ステージはあなたの世界
道化師は笑う　水面にその姿
誰よりも不敵に

真紅の花弁　散らせて描いてる
狂い乱れた舞台は戦慄
道化師は笑う　濡れた手を翳して
「蛍たちよそらへ届け…」

道化師は笑う　その姿隠して
でも誰の目にも映る三日月
道化師は笑う　舞台が鎖すまで
頬の雫を削ぎ落とし　あなたに還り…