モノクロぉム

033
溺れそう　息を呑むスイマー　路上に立つ
やがて足首も　そして膝の上まで
溺れそう　泳ぎ忘れた魚みたい
鈍(にび)色　モノクロぉムに

054
たゆたう波面(なみおもて)　掻き分けるよぉに
シグナル混ぜてゆく ゼブラの天辺(てっぺん)で
もおじき呑まれてく沈む世界に
まだ爪先は届く──

115
降り止まぬ雨の中　投げ捨てる傘を
止まない雨はないと　誰が言うの　嘘ばっかし
息を止めるソレは　熱のない水溜り
「また明日」って言葉　誰に向けて投げ捨てたの──

　　(　間奏　)

146
見上げた空の上　もっと高かったはず
見えぬ壁になり　いつか水槽になった
バブリング　すがりつくように息をひそめ
世界はモノクロぉムになった

207
境界線の上　映る場面は
どこかの他人事(たにんごと)　絵空事だと
踏み込めない理由を並べて言い訳する
熱も色もないよ──

229
止まない雨の中　投げ捨てたものは
止まない希求の泡沫(バブル)　息を吐いて手を離す
見たくもないソレは　名前のないプロフィール
誰もが逃げようと路上跳ねる魚のよ(う)に─

溺れながら泳ぐよ──

　　(　間奏　)

313
抱きしめたいものは柔らかい「何か」
まがいモノでもいいよ　ひとつ抱いて沈んでく
突き刺す雨粒が届かない深い場所
誰にも見つからぬ　箱の中にそぉっと詰め──

　　(サイレント)

336
閉ざされた箱の蓋　軋む鍵の音
銀色の金属が指の先をツンと突く
こぼれる水滴(すいてき)に瞬き(まばたき)も出来ぬまま
溺れるスイマーは矛盾抱いて爪先立つ

　　　* * *

033
おぼれそう　いきをのむスイマー　ろじょーにたつ
やがてあしくびも　そしてひざのうえまで
おぼれそう　およぎわすれたさかなみたい
にびいろ　モノクロぉムに

054
たゆたうなみおもて　かきわけるよーに
シグナルまぜてゆく ゼブラのてっぺんで
もおじきのまれてく　しずむせかいに
まだつまさきはとどく

115
ふりやまぬあめのなか　なげすてるかさを
やまないあめはないと　だれがいうの　うそばっかし
いきをとめるソレは　ねつのないみずたまり
またあしたってことば　だれにむけてなげすてたの──

　　(　間奏　)

146
みあげたそらのうえ　もっとたかかったはず
みえぬかべになり　いつかすいそうになった
バブリング　すがりつくようにいきをひそめ
せかいはモノクロぉムになった

207
きょうかいせんのうえ　うつるばめんは
どこかのたにんごと　えそらごとだと
ふみこめないりゆうをならべていいわけする
ねつもいろもないよ──

229
やまないあめのなか　なげすてたものは
やまないききゅうのバブル　いきをはいててをはなす
みたくもないソレは　なまえのないプロフィール
だれもがにげようと　ろじょうはねるさかなのよ(う)に─

おぼれながらおよぐよ──

　　(　間奏　)

313
だきしめたいものは　やわらかいなにか
まがいモノでもいいよ　ひとつだいてしずんでく
つきさすあまつぶが　とどかないふかいばしょ
だれにもみつからぬ　はこのなかにそぉっとつめ──

　　(サイレント)

336
とざされたはこのふた　きしむかぎのおと
ぎんいろのきんぞくが　ゆびのさきをツンとつく
こぼれるすいてきに　まばたきもできぬまま
おぼれるスイマーは　むじゅんだいてつまさきだつ