なんでもあったわ
きれいな洋服
たくさんのぬいぐるみ、おもちゃ
世界中のめずらしいもの
なんでもあったわ
けれど、なにもここには無かったわ
それがあの頃の、記憶

おまえは持っていないから、いっしょにいられるんだよ。とパパは言った
そんなの変よ、おかしい
私も持っていないから、ここにいる
けれど、持って生まれてしまった子は?
持っていることは優れているはずなのに、遠くへ
変よ、そんなの、おかしい

無いほうが、愛されているみたい、まるで。
有るから愛されないみたいで。
ねぇ、パパ。
持っていない子と、持っている子、どちらが欲しかったの?
どちらが好きなの?

『心ここにあらず』
そう言うと焦ったような顔をした
メインディッシュのソテーは美味しかった
私と食事してるのにちっとも楽しそうじゃない
食器とナイフが小さくぶつかって音がした
デザートは楽しみ

やっぱり私は『持ってない』
ここにはなにもない
ねぇ、パパ。
なんでもくれたわ
ほしいもの全て
たくさんのわがまま
でも私にはなにも残らないわ
なにもないわ
やっぱり、持って産まれたかったわ

食後は紅茶がいい
ミルクは要らない
砂糖は少し
ああ、でも、やっぱり
なにも入れないで、そのままで。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

満たされた日々

よくわかりません、よく…わかりません(;^ω^)

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投稿日:2008/05/07 00:28:04

文字数:528文字

カテゴリ:その他

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