「チープな映画」

作詞:切儚
作曲:モノオキP

点けっぱなしのテレビから去年流行った映画が流れた
明かりの消えた部屋で僕はひとりそれをぼんやり観てた
物語はありきたりなほどくだらないご都合主義で
つまずいたり転んだりの果てにハッピーエンドが待っていた

エンドロールが終わって気がつくと僕は泣いていた
感動したわけじゃないのになぜか涙が止まらなかった
そういえば“人生は映画だ”なんて誰かが歌ってたっけ
じゃあ僕のはさしずめさっきよりもっとチープな映画だろう

焦がれた恋を失って、追いかけた夢すら諦めて
なんのドラマも起きないまま、ただ日々だけが続いていく
なあ、監督は誰だ? 脚本家ってのはどいつだ?
…全部僕だってことぐらい、本当はわかってる

何かのせいにするのが上手くなったのはいつからだろう
適当にあつらえた理屈を自分への免罪符にしてた
そのうち目標を語ること自体が目標になって
やけに耳障りだけいい言葉が僕の焦りをはぐらかした

悲しいとか悔しいとかそんな感情すらもうないのに
それでも涙が溢れて止まらない理由に今気づいた
これはきっと僕じゃなくてあの頃の僕の涙なんだ
いつか夢は叶うと信じてたあの頃の僕が泣いてるんだ

焦がれた恋を失って、追いかけた夢すら諦めて
なんのドラマも起きないまま、ただ日々だけが続いていく
なあ、監督は誰だ? 脚本家ってのはどいつだ?
…全部僕だってことぐらい、本当はわかってる

何もない 清々しいくらいに何もない
クライマックスを過ぎたチープな映画に見所はない

変わらない 今日も明日もきっと変わらない
僕はもうこの先の展開に期待なんてしていない

…それなのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう

焦がれた恋を失って、追いかけた夢すら諦めて
なんのドラマも起きないまま、ただ日々だけが続いていく
なあ、監督は誰だ? 脚本家ってのはどいつだ?
…全部僕だってことぐらい、本当はわかってる

今は遠くにいるきみに、もう届かないあの夢に
顔向けできない僕のまま、この映画は終わるんだろう
ああ、監督は僕だ 脚本家も、主演も僕だ
…全部僕のせいだってことぐらい、本当はわかってる

わかってるんだよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

チープな映画(未発表曲)

閲覧数:68

投稿日:2021/06/27 11:37:59

文字数:924文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました