か細い声が
零れては消えてく
最後の願いをのせ
浮かび上がる水泡(みなわ)が弾けた

暗い底から
貴方の影を見てた
積もる愛しさに
全て捨ててしまっても良い気がした

声と引き換えに与えられた
突き刺さるような痛みにも耐え
伝えられなくて
だけど信じて
貴方と居ることだけ願った

淡い夢は海に沈んで
消えていった
もう戻らない
ほんの少しだけの幸せ
望んでいた
もう届かない

いつか笑いながら誓い合った
二人の永遠の約束
今はただ虚しいだけの過去
強く胸に抱いた

愛しい人の名前を呼んだ
声が聞こえた

大切なものを犠牲にした
ただ救いの手をさしのべるため
そんな優しさも
奪い去る現実に
虚ろな瞳を閉じた

月の光消えたこの空
私の手が握る凶器も
幸せそうな貴方を映し
優しい泡に
包み込まれた

滲む涙貴方の記憶
崩れてゆく全てすり抜け
伝えられなかった
この想いを
抱き締めたままで微笑んだ
最初で最後の
この滴は遠い空へ還る

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

DEN LILLE HAVFRUE

low様の曲にかかせていただきました。
http://piapro.jp/t/05W6


━━━ 東の空を見ると、もうあけ方のあかね色がだんだんはっきりして来ました。
ひいさまは、そのとき、するどい短刀のきっさきをじっとみて、その目をふたたび王子の上にうつしました。
王子は夢をみながら、花よめの名を呼びました。
王子のこころのなかには、花よめのことだけしかありません。
短刀は、人魚のひいさまの手のなかでふるえました。
--でも、そのとき、ひいさまは短刀を波間とおく投げ入れました。
投げた所に赤い光がさして、そこから血のしずくがふきだしたようにおもわれました。
もういちど、ひいさまは、もう半分うつろな目で、王子をみました、そのせつな、身をおどらせて、
海のなかへとび込みました。
そうしてみるみる、からだがあわになってとけていくようにおもいました。
 いま、お日さまは、海の上にのぼりました。
その光は、やわらかに、あたたかに、死のようにつめたいあわの上にさしました。

                           (中略)

 そのとき、人魚のひいさまは、神様のお日さまにむかって、光る手をさしのべて、
生まれてはじめて涙を目にかんじました。━━━


人魚のひいさま
DEN LILLE HAVFRUE
ハンス・クリスティアン・アンデルセン
楠山正雄訳
         より抜粋

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投稿日:2011/04/28 20:19:26

文字数:419文字

カテゴリ:歌詞

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