​心があるから


どんなに強がって　綺麗事を歌っても
「消えてなくなりたい」　そんな夜は訪れる

今までの全てが　ゴミの様に見えて
上手く息ができない　ゴミ箱が溢れかえる

目を背けて 迷子の振りをしても
鏡の中から　現実が見つめている

この言葉はそうだ ただの言い訳だ
躓いた石を 蹴り飛ばした


この瞼の奥で 鈍色(にびいろ)の星が輝いていて
いつでも消せる灯を抱えていた

踏み出す一歩の先で　どんな最期が待っていようと
ここで息絶えるより良いと思えた


もしも僕に心が無かったなら 泣くこともないんだろうな
焦燥も自己嫌悪も 何も知らずに生きていたかな

だけど僕には心があるから　この左腕は泣いたのか
泣いて笑って　そうして歩いてきたのか



後悔が積もった 失敗が積もった
その陰の中の 光を見落とした

この涙が何時か　報われる未来を
この嵐が何時か　晴れ渡る日を


　
過ぎ去った過去を忘れず　見えない未来に怯えて
見えないその鎖に縛られている

それでもその掌を　今だに掲げている理由は
あの日見つけた星が輝くから


もしも僕に心が無かったなら 悩む事もないだろうな
絶望も愛することも　何も知らずに生きていたかな

けど僕には心があるから　その温もりに気づいたのか
何かと出会って　愛して　寄り添って歩いきたのか



もしも僕に心が無かったなら　この世界には居ないだろうな
全て投げ捨て　身軽な体で　あの地面とキスをするだろう

だけど僕には心があるから　この身体は足搔くのかな
ここで終わるかって　何かが響いて　また鼓動は脈を打つ

転んで　立ち上がって 藻掻いて　抗って
そうして夜を超えるんだ