飽和する君と残骸の僕。

かけがえない毎日、ずっとあると
思いながら過ごしてたんだ。
梅雨が始まったある日。
突然、君が僕の家に来て、
びしょ濡れのまま言ったんだ。
「もう耐えられない。死にたい。」
聞いた僕は君の手を握り、
「僕と一緒に逝こう。
誰もいない場所に。」
僕ら走り出した。逃避行の旅へと。

写真も日記も、置いてって、
ナイフと残骸の記憶を抱えて歩いた。
風が吹く。いつもよりも心地よくて、
涙を忘れるくらいに息をした。
君の手は震えていた。
僕は手を握りしめた。長く握った。
雨が降る。このまま消えたいな。

ある日、君は言う。死にたい理由を。
「友達とケンカをして、
突き飛ばしたら打ち所が悪かった。
人殺しをしたから消えたいんだ。」
泣きながら言う君のことを
抱きしめた。僕は君に
「君はなにも悪くないよ。」
本当は否定したかった。けど
言えなかった。僕はダメ人間だから。

君の手の震えもなくなって、
青い空の下、線路を歩いた。
怒号の警察が追いかけてきても、
なにも怖くなかった。不思議だな。
僕は君に言った。
「クラスの奴も家族も全部捨てて、
首吊りで死のうよ。」
君は笑顔でうなずいた。

晴れた秋晴れの日。突然君は僕に
「君は死んじゃダメだよ。
汚い私と逝かなくていいよ。」
そして君は解放の縄を首にくくりつけ、
どこかに消えてしまった。

僕はピントがあわないテレビを、
永遠と見ているようだった。
イスに座った瞬間、僕は捕まっていて
ある日、君の写真を見た。
笑顔の君は、遺骨になっていた。
どこに行っても君の席は空席だった。
伝えればよかったかな?
飽和した記憶のなかで君に、
「もういいよ。全て投げ出してしまおうか。」
ずっと考えてしまうだろう。
雨を飲んで、太陽を吐いた記憶を。

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飽和する君と残骸の僕。

この詩は、あの夏が飽和する。を聴いてる時に、思いついたものです。

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投稿日:2024/03/13 15:41:50

文字数:759文字

カテゴリ:歌詞

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