海月姫
023
深みに沈み込んだままの海月は
何を夢観ているのだろ
例えば海の娘が船に乗る王子(おとこ)に
恋をしたけど叶わず…
111
あぁ
声を失くした娘が身を投げたと聞く
朝焼けの海へと…
( 間 奏 )
211
波間を虚ろう満月の影 解けて
あの娘 落ちる雫のように呑まれた
息をするのも辛いこの世界で
明日が来るのが怖くて
300
何を引き換えにし
誰に縋ればいい?
324
あぁ 声にならぬ願いは
もう朝日に晒され
泡沫になり 消えたよ
* * *
くらげひめ
023
ふかみにしずみこんだままのクラゲは
なにをゆめみているのだろ
たとえばうみのむすめがふねにのるおとこに
こいをしたけどかなわず
111
あぁ
こえをなくしたむすめがみをなげたときく
あさやけのうみえと
( 間 奏 )
211
なみまをうつろうつきのかげ ほどけて
あのこ おちるしずくのよ(う)にのまれた ←(う)は発声せず
いきをするのもつらいこのせかいで
あすがくるのがこわくて
300
なにをひきかえにし
だれにすがればいい
324
あぁ こえにならぬねがいは
もうあさひにさらされ
あわになり きえたよ
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