ガラスと町
夕日が町を染めて
君の頬を色付けるころ
何もない二人だから
意味を探す旅に出た
「だけど、本当にあるのかな」
「私は見たの丘の下で割れて、落ちていた」
二人を乗せた自転車は下って行く
出来るだけ遠くへ
向こう側の方まで
「今度は海に行こう。灯りのない町だから
夜にふわり、浮かぶ月が二つに見えるかも」
凪の間に足音が聴こえてくる
僕は立ち止まる
君は進んでく
それは悲しい答えなのかもしれない
君だけが世界だったかもしれない
そんなこと言えずに笑っている
朝が来る
染まってく
「帰ろっか」
ご意見・ご感想