歌詞+解説(ネタばれ注意)
《主な登場人物》
○島崎 寛文 (しまさき ひろふみ)
物語の主人公。
老舗洋菓子店のケーキ職人。
○島崎 陽子 (しまさき ようこ)
寛文の妻。
白血病を患い、若くして他界。
○島崎 結花 (しまさき ゆいか)
寛文と陽子の一人娘。
母亡き後、結花の為に必死で働く父の姿を見て育った。
寛文を通じて知り合った智樹と恋に落ち、やがて生涯の愛を誓い合う。
○高野 智樹 (たかの ともき)
結花の婚約者。
寛文の洋菓子店で修行を積んだ若き天才パティシエ。
その腕は国際コンクールで認められるほどの逸材。
▲動画の前フリ
とある都市の、とある街中。
通りを歩く人々が行き交う中、一人の男性が喫茶店の前で佇んでいた。
窓の向こうの、客席の様子を見ている。
客席には、一組の親子がいた。
小さな男の子が、姉と思わしき女の子に何か言っている。
「おねえちゃんの方がおいしそう。ぼくも食べたい!」
「えぇ~……」
女の子は、困った顔をしつつも自分のデザートを匙で一掬いして男の子にあげる。
「一口だけね。」
「わあぁい♪」
「……もう。あたしが食べるの、いつも欲しがるんだから。」
そう言って、溜め息を吐く。
そんな幼い姉弟のやり取りを見て、向かいの席に座る母親は優しい微笑みを浮かべる。
喫茶店の外で一部始終を見ていた男性も、口元に小さな笑みを浮かべた。
この男性が、物語の主人公、島崎寛文。
◇歌詞 ▼解説
◇今日 僕は君の 大事な人と会う約束をした
婚約者(フィアンセ)の彼と秘密のケーキを作る為 僕はここへ来た
▲僕→島崎寛文 君→島崎結花 彼→高野智樹
喫茶店の前で待ち合わせしていた寛文。
少し遅れてきた智樹と合流。
◇君は覚えてるかい? ママが大好きだったあのケーキ
ママの誕生日の度 僕が作った あの思い出のケーキ
▲ママ→島崎陽子
ケーキ職人の寛文は、陽子と付き合っていた頃から誕生日にケーキを作ってあげていた。
それは陽子と結婚後も、結花が生まれた後も続けていた。
陽子は料理が得意だが、ケーキ作りは寛文にかなわないと理解していた為、いつも夫に任せていた。
◇君の誕生日にも 僕はケーキを作った
初めて一口食べた瞬間 花咲いた笑顔
▲結花が初めて寛文のケーキを食べたのは、四歳。
◇僕もママも君もあの頃 とても幸せだった
ずっとずっとこれからも こうしていられると そう信じてた
あの日 ママは空の 星の光となった
涙を流す幼いその手を握りしめ 僕は“生きる”と誓った
▲陽子が白血病を患い、逝去。
結花が八歳の時に、この世を去る。
◇あれからの僕は 仕事に追われる毎日だった
それでも夕飯を用意して待つ君の為 僕は必死だった
▲結花の為に、仕事に精を出す寛文。
結花は中学へ上がった頃から、近くに住む祖母(寛文の母)と料理や家事をするようになる。
◇忙しさを理由にして 君にケーキを作らなくなった
本当はママの事を思い出すからなんて 素直に言えずにいた
▲寛文がケーキを作らなくなったのも、結花が中学生になってから。
家でケーキを作らない代わりに、自分の店で販売しているケーキや他店のケーキを買うようになる。
◇大人になった君は 彼と恋に落ちた
「一目惚れでした。」と告白する 彼の眼差しに 君は照れて笑った
▲結花が二十三歳の時、父の店でたまたま接客対応をしてくれた智樹と出会う。
後日、寛文が改めて紹介する機会があり、それから親しい関係に。
数ヶ月の親交を経て、智樹は結花に告白する。
◇君はやがて一人の女性として 彼と愛を育んだ
僕もよく知る彼なら君を守れると そう許したんだ
▲製菓の専門学校を卒業後、寛文の店で修行を積み、才能を開花させた智樹。
その腕は、世界的に権威のある国際コンクールでも認められた。
智樹の努力と人柄を近くで見てきた寛文。
「彼なら、結花を任せても構わない。」
二人の交際を陰ながら応援するようになる。
◇君は 彼が作るケーキに かつての僕を見つけた気がした
懐かしい味を噛みしめて 思い出して 涙が溢れた
▲結花の誕生日の数週間前、智樹は、
「彼女の誕生日に、何をプレゼントすれば喜んでもらえるでしょう?」
と寛文に相談する。
少し考えた後、寛文は智樹にこう言った。
「あの子が、幸せになれるケーキを作ってあげてくれるかい?」
智樹は、寛文のアドバイスを元にケーキを作り、結花にプレゼントした。
誕生日に贈られたケーキ。
それは自然と、結花の幼い頃の記憶を蘇らせた。
寛文の作り方を参考にしたというそのケーキは、どこか懐かしい父の味に似ていた。
パパ…… ママ……
心の奥で、ずっと仕舞い込んでいた寂しさが一気に溢れだした。
間奏。
結花に正式なプロポーズをした智樹。
二人は結婚式の為の準備を進める。
花嫁から父へ送る手紙を書く結花。
一方、寛文の職場では、智樹に重要な書類が渡される。
◇ある日 彼は僕に 君の秘密を教えてくれた
式の後 異国へと旅立つ前に 叶えたい一つの願い
▲あの時、結花が流した涙の理由。
智樹はそれを、寛文に話した。
結婚式の後、智樹は転勤を理由にフランスへ向かわなければならない。
結花も共に日本を立つ。
その前に、もし、叶うなら……
◇本棚の奥に仕舞った 古いノートを捲り 僕は探す
ママを想い ママの為に作り上げた あの頃の思い出のレシピ
君は覚えてるのかな? かつて僕らが食べたあの味を
僕はあの頃と何一つ変わらずに 作り出せるのかな?
▲結花が心に秘めていた想い。
「パパが私にケーキを作らなくなった理由、ちゃんと分かってたよ。
ママがいなくなっちゃったから、パパも寂しかったんだよね?
私も、……寂しかった。
でもパパは、いつも私の為に一生懸命だった。
だから仕方がないんだ。
わがままを言って、パパを困らせちゃ駄目だって、ずっと自分に言い聞かせてきた。
けど、……
智樹さんのケーキを食べて、思ったの。
パパにとっては、辛い事かもしれない。
本当は、こんな事望んじゃいけないのかもしれない。
智樹さんが作ってくれたケーキも嬉しかった。
でも、もし、叶うなら、……私は、パパのケーキが食べたい。
お店で作るケーキじゃなくて、他の誰かが作るケーキじゃなくて。
あの頃、ママや私に作ってくれてたケーキが食べたい……」
◇「パパのケーキが食べたい。」と願った 君を想い 僕は腕を振るうよ
サプライズで用意したウェディングケーキ 君は泣いて笑った
▲結婚式当日。
寛文は、結花と智樹の為にウェディングケーキを作る。
何も知らされていなかった結花。
驚きの後、込み上げてきた嬉しさと感謝の想いで涙が溢れる。
◇どんなに離れていても 君は僕の大切な人
空を見上げ ママと一緒に祈るよ
“どうか 幸せに”と―――
▲寛文、結花、智樹の三人が並んだ記念写真について。
何故、結花が寛文と智樹、二人と腕を組んでいるのか?
カメラマンが写真を撮ろうとした時。
結花「私、パパと智樹さんと腕組みたい!」
智樹「?……両方?」
結花「うん!こっちが智樹さんで、こっちはパパ。」
智樹「ぁ、なるほど。」
結花「パパ、ごめん。ブーケがちょっと邪魔だから、これ持って。」
寛文「僕が持つのか……」
父、苦笑い。
それでも結花の願いを叶えてあげる二人でした。
【KAITO・神威がくぽ】Cake of memories【オリジナル曲】 歌詞+解説
<あとがき>
DTMのレッスンで練習曲を打ち込む勉強をしていた頃。
ふと、「そういえば、昔小説で書こうとして諦めちゃった話があったなぁ。」と思い至り、ネタを書き残してしたメモ帳を出して見てみました。
「あの子の為に、幸せになれるケーキを作ってあげてくれるかい?」
簡単な世界設定と一緒に、この台詞が書き留められていました。
元々物語を考えるのが好きな私は、この台詞でスイッチが入りました。
小説は諦めてしまったけど、歌にしてみるのはどうだろう?
練習曲でカイト兄さんとがくぽさんのデュエットを練習していたので、このお話を二人に歌ってもらう事にしました。
私はまだDTM見習いなので、主旋律の和音やオケの編曲、楽器の演奏方法、マスタリングなどは先生の助言と手助けのおかげでなんとかここまで形にしていただく事ができました。
本当に、感謝の言葉しかありません。
先生以外にも、影で支えてくれた人、応援してくれた人、ずっと待っていてくれていた人達がいます。
皆さん、私にとって掛け替えのない存在です。
今、こうして世の中の皆さんに公表する事ができて、本当に嬉しいです。
ここまで読んで下さった人。
私の曲を聴いて下さった人。
すべての人に、心からの感謝を込めて。
ありがとうございます。
<関連動画>
○ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm27422826
○You Tube
https://youtu.be/GwV0TJc8Jug
◎「Cake of memories」Vo無し音源はこちら↓↓
http://piapro.jp/t/oCQO
歌っていただけたら幸いです。
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