「古びたレポートⅠ」

驚異的な生物兵器に関する概要。

ここではその兵器をAと呼ぶことにする。

もともとは人間(性別不明)。

とある国で、生物兵器の研究、製造に巻き込まれることとなる。

そこで、動物型兵器
(人間が動物の姿となり、敵地への侵入、情報収集、及び位の低いものは肉弾として扱われる)へ。

大烏の姿にされるが、異常なまでの力を持ったため、研究に回される。

そこで、クローン技術を用いて作られたものが二体。

我々では管理しきれないAを扱うために作られた。

A管理するためのB。

制御、及び非常事態の終息のためのC。

三体を掌握することができれば、国の一つは簡単に手に入るだろう。




「古びたレポートⅡ」

驚異的な生物兵器に関する警告。

三体が研究所から逃げ出した。

確実な拘束をしていたのに逃げ出したのだ。

つまり、彼らは我々が思っている以上の力や知能を持っているらしい。

危険だ。

見つけ次第、すぐ捕獲せよ。

また、捕獲の際は犠牲になっても構わない人材の使用を推す。

おそらく、彼らも脱出の際相当の傷を負っているはずだ。

どれだけの人材が犠牲になっても構わない。

どうか、彼らを捕まえてくれ。



「古びたレポートⅢ」

驚異的な生物兵器に関する情報、及び**。

AがEU街で目撃されたとの情報から、その周辺を集中的に捜索した。

結果、Aは早々に我々の前に姿を現した。

しかし、捕獲に失敗。

相当の犠牲が出た。

Aにはもう、我々と共に過ごした記憶はないらしい。

容赦ない攻撃を受け、研究者の半数以上の死亡が確認された。

予定を変更せざるをえない。

もう、三体の捜索は打ち切ってくれ。

近づいてはならない。

どうか、これ以上の犠牲がないように、祈っている。


-------------------


「山奥の手記・手紙」

大きなカラスが、今日も上空を横切った。

かつての仲間の、成れの果てである。

もう、手を出すことはできない。

今できることは、こうして、ただ見守るのみである。

人間に戻れることを忘れているようだ。

人間だったこと自体、忘れているのかもしれない。

それが、脱出の際の傷によるものなのか、精神的なものかはわからない。


君には、話したいことがたくさんあった。

まだ、話していないことがあった。

何気ない会話から、大切な話まで。

もう、伝えることはできないだろう。

だから、仕方なくこうやって紙に記す。

一番大切なことだけ、伝えておこうと思う。


君には、家族がいた。

私が君を迎えに行ったのとは別の、遠くの孤児院。

君とよく似た兄弟がいたんだ。

私はそれを、いつか伝えようと思っていた。

あわよくば、逢わせてあげたいとさえ思っていた。

今となってはもう遅いが、その後の消息だって調べていたのだ。

あの実験の前に、伝えられるはずだった。

しかし、我が国に時間の猶予はない。

来る日を待たずして、君は怪物に成り果てた。


ごめん。ごめんな。


おそらく、私は数時間後に死ぬ。

この山奥で、君に殺される。

それでもいい。

伝わらない謝罪をして、自己満足して死んでこよう。

どうか、この手紙を受け取ってくれ。


それと、もし伝わることがあったなら、逢いに行って欲しい。

【AS街-JP-*-***-*-・・ 馳* ・・   ・・   





-------------------------


「焼け跡の日記①」

○○年○月**・・・

レイヴェン。クロウよりも大きな、ワタリガラスなどを指す。

この街では、恐れをなして、とある一族を指していた。

僕はいつだって、嫌われ者だ。

そんな、レイヴェンと呼ばれるカラスを見つけた。

なんと、僕の家の庭にいた。

何の皮肉か、レイヴェンと呼ばれ嫌われている僕の屋敷に、

怪我をして今にも死にそうなレイヴェンがいたのだ。

僕と同じで、真っ黒だった。可哀想に。

鳥の治療など知らなかったが、医術の知識ならあった。

できる限りの治療はしてみた。

治るだろうか。



「焼け跡の日記②」

○○年○月○**・・・

突然いなくなって、しばらく姿を見なかったあのカラスが、帰ってきた。

別にここは彼(彼女?)家ではないけど。

口に何かくわえていた。

ぐしゃぐしゃの紙と、宝石のようなものだった。

ちなみに、宝石ではなく、よくできた硝子だ。

僕は、宝石よりもこういったものの方が好き。

安価なのにキラキラしてる。

紙の方は、僕ではない誰かに宛てた手紙のようだった。

僕が読んでは申し訳ない気がして、とりあえずポケットに入れた。

カラスは、なかなか飛び立たなかった。

怪我はもう治っているようだ。

そんなに早く治るものだろうか。

手を伸ばしても、動く気配がなかった。

そのまま、翼に触れる。

すべすべしていた。

僕にもあんな風に翼があったらよかったな。




「焼け跡の日記③」

○○年***・・・・

今日もカラスが来てくれた。

最近はよく来てくれる。

毎回、何かしらを持ってきてくれた。

キラキラしたものが多い。

どこから持ってくるんだろう?

盗んだものじゃないといいんだけど。

カラスは、じっと、僕の話を聞いてくれる。

時々、相槌をうつように首を動かした。

たぶん僕の勘違いだろう。

でも、僕の話を聞いてくれるのが嬉しかった。

彼は、僕の、人生で二人目の、唯一の友達。



-----------------------------


「とあるデータの文章1/3」

家の子の一人から、とあるカラスの話を聞いた。

そして、その話の中から、とある手紙の存在を知った。

自分はあまり行動的とは言えない方だが、家の子のこととなると、動かずにはいられない。

簡単に言ってしまえば親バカである。

手紙は、奇跡的に現存した。

貴重な資料である焼け跡残るコートから、更に貴重な資料として見つかった手紙。

しかし、関連性が見られないということで、公開はされていなかったそうだ。

なんとかして、その資料を見せてもらった。

破けて、掠れて、焦げ目のついたその手紙は、ほとんど読むことができない状態。

しかし、その中に、見覚えのある箇所がある。

手紙の最後に書かれた住所。

穴あきの状態ではあったが、それは確かに、私が今いる場所の住所だった。

掠れた、「馳」という字。間違いなく私を指している。

少しだけ、思い当たることがあった。


私は、ある場所を訪れた。

長く家を開けるのは久々だ。

ここでは、簡単に記すことにする。

私は、妹に会ってきた。

そして、妹は自分の目の前で死んだ。

久々の再会を喜ぶ時間は十分にあったのだが、喜べる状況ではなかった。

なにせ、記憶がないほど久々に会った妹は、人間の姿でない。

妹に会うために行った、軍事施設のような研究所。

通された部屋には、大きなカラスがいた。

たくさんのコードと点滴につながれ、眠っている。

詳しい状況は、聞けなかった。

私には常に、AKなんとかやら、トンプソンなんとかといった、世界各国の武器を向けられていた。

とても手厚い歓迎で、嬉しい限りだ。

とにかく、それでもできる限りの情報を集めた。

自分に出来ることは、限られている。

肉体のある生物についての知識はほとんどない。

脳波や、実験データ、記憶。

そういったものからしか、物事を見られない。

だから、目の前の妹を、元の姿に戻すことも、治療することもできない。

向かうべきはコードの先、データの海。


非常に馬鹿なことに、かつて自分の手で友達を作り出したように、

同じ方法で妹を生き返らせることにしたのだ。




「とあるデータの文章2/3」

これは、失敗だろうか。

持ってきたデータは、あまりに危険すぎるものだった。

銃を向けていた人達は、実際は危険性などわかっていない、ただの見張り役だったらしい。

下手にエラーを起こせば、世界を壊滅させる兵器にでもなってしまいそうだ。

しかし、諦めるわけにもいかない。

カラスの姿で息絶えた彼女を、放っておくわけにはいかないのだ。

できる限りデータを削った。

そのかわりに自分たちのデータを入れる。

これじゃ、まるで自分自身だ。

ただでさえ、見た目は自分たちや、その幼い頃を元に作っている。

これ以上データを削るのはやめよう。


そういえば、持ち帰った資料の中に、気になるレポートがあったな。

あれを、やってみようか。



「とあるデータの文章3/3」

成功。

もちろん100点満点ではない。

今までだってそんなもの作ったことがない。

相当な頻度で点検は必要になるだろう。

ひとまず、安心だ。


それにしても、妹は、本当にこんな性格だったのだろうか。

無邪気すぎるような…。いや、元気なのはいいのだが。

自分とは大分違うのに、時々同じようなことを言うのは、性格だろうか、データだろうか。


家がまた、賑やかになった。

一気に三人も増えたのだから、そりゃあ賑やかにもなるだろう。

あまり暴れすぎないと良いのだが…。

たぶん、私生活においても、あの二人がうまく制御してくれるはずだ。

とりあえず、今日はもう寝よう。






-----------
-----------

【馳烏家マスターの設定】
 ※私(はせを)とは何の関係もないです

三兄弟で孤児、
上から、
 馳烏 弥汰(はせお やた・男)
 馳烏 **(はせお?・女)
 馳烏 空(はせおくう・性別なし)

弥汰と空は同じ孤児院で、同じ親に引き取られた。
馳烏家での「マスター」は、主に弥汰を指す。
弥汰と空は、現在は二人(+創作ボカロたち)で暮らしている。

「馳烏弥汰」
性別:男
年齢:22~27あたり
身長:182cm
誕生日:5月10日
一人称:僕、俺、(私)
癖:指の骨を鳴らす、爪を噛む、足を組む
好き:ボカロ類全般、電子タバコ、ぬいぐるみ
得意:プログラミング、ハッキング
仕事:プログラミング関連、主に家で出来るもの
その他:夜寝付けないため昼間に眠っている、病弱で足が悪い
見た目:
 ・髪…黒、右目にかかっている、少しだけくせっ毛
 ・目…白、左目は人工眼(泣きボクロに見えるのは予備カメラ)、右目はガラス玉
     時々眼鏡をしている、よく隈になっている
 ・耳…左耳に白いピアス(人工眼の受信機)、少し尖っている
 ・服…基本的にモノクロカラー、パーカーをよく着ている



「馳烏空」
性別:なし
   突然変異体であり、どちらかに偏った形質は見られず、生殖機能はない。
   何らかの理由により、世界中で急増し、200人に1人程度の割合で見られるようになった。
年齢:18~24あたり
身長:155cm前後
一人称:自分、俺、(私)
二人称:お前、呼び捨て
癖:ポケットに手を入れる、相手の真似をする、首をかしげる
好き:ボカロ全般、カラス
得意:プログラミング、デザイン
その他:夜寝付けないため昼間に眠っている、病弱で足が悪い
見た目:
 ・髪…黒、右目にかかっている、馳音ヤタの髪型に似ているがもみあげが長く、低い位置でまとめていることが多い
 ・目…白、左目は人工眼(泣きボクロに見えるのは予備カメラ)、右目はガラス玉
     時々眼鏡をしている、よく隈になっている
 ・耳…左耳に白いピアス(人工眼の受信機)、少し尖っている
 ・服…基本的にモノクロカラー、パーカーをよく着ている

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【馳音ヤタの過去】生物兵器に関する書類【+マスター設定】

閲覧数:242

投稿日:2013/09/07 20:38:51

文字数:4,857文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました