1A
今際の沈む月 かわいそうと
有為にこぼれた雨が
実らない時ばかり刻んで
思い出したはいつか


2A
百歳に咲く花 ほころぶのは
雲の彼方か地上か
彷徨い立ち還る先なのは
彼方それともあなた


1B
こびりついた珠の枝と
燕の子の玉響
並べられた物の数だけ
繋ぎとめる


1S
いざや、落ちてく 別つの路
誘われて 行く宛もなく
月や、彼方 こたへはない
憂いは新た 尽きもしない
先も見えない


3A
一番近い天 不甲斐ないと
焦がれかぐわしくても
煙に巻かれて隠れたのは
他 誰でなく私


2B
忘れられない羽衣
月の宮、不死の罪
差し出される過去の数だけ
心失くす


2S
いずこ見えぬ私の心
いづれ還る故郷もなく 
月や、彼方 咲くこともなく
憂いはあなた ためらうままに


LS
いざ凪いだは 渦巻く迷い
誘われし羽衣に別る
月や、彼方  ひとひらの灯に
照らされては 花開くの

月や、彼方 こぼれた光
憂いは晴れた 添う月の花
月や、彼方 百歳越えて
選び私 ここに咲う
好きに咲いた



【ひらがな】

1A
いまわのしずむつきかわいそうと
ういにこぼれたあめが
みのらないときばかりきざんで
おもいだしたわいつか


2A
ももとせにさくはなほころぶのわ
くものかなたかここか
さまよいたちかえるさきなのわ
かなたそれともあなた


1B
こびりついたたまのえと
つばめのこのたまゆら
ならべられたもののかずだけ
つなぎとめる


1S
いざやおちてくわかつのみち
いざなわれてゆくあてもなく
つきやかなたこたえわない
ういはあらたつきもしない
さきもみえない


3A
いちばんちかいそらふがいないと
こがれかぐわしくても
けむりにまかれてかくれたのわ
ほかだれでなくわたし


2B
わすれられないはごろも
つきのみやふしのつみ
さしだされるかこのかずだけ
こころなくす


2S
いずこみえぬわたしのこころ
いづれかえるこきょうもなく
つきやかなたさくこともなく
ういはあなたためらうままに


LS
いざないだわうずまくまよい
いざなわれしはねにわかる
つきやかなたひとひらのひに
てらされてわはなひらくの

つきやかなたこぼれたひかり
ういははれたそうつきのはな
つきやかなたももとせこえて
えらびわたしここにわらう
すきにさいた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

月や、彼方

 童話シリーズ3作目、かぐや姫モチーフの詞です。サブテーマは咲く。

 月の住人だったけど、地上で幼少期から育てられるという経験をしたかぐや姫にとっての故郷(帰る場所、ホーム的な場所)はどこなんだろう、と思ったのがきっかけになっています。

閲覧数:2,461

投稿日:2020/10/31 19:40:43

文字数:1,030文字

カテゴリ:歌詞

オススメ作品

クリップボードにコピーしました