特に話すこともないまま最終列車を待っている
静寂、怠惰と大きな悲しみに「もうやっていられないや」
なげやり感情 大言壮語を吐いた頃
夕暮れ空が遥か彼方 枯れていく
「特に希望なんてないのに生きてる 人生損害だ」
彼らの乾いた笑い声が涙色に変わりそうな頃
遠くの景色が突発的喧騒を纏う
汽笛が鳴り響いた刹那「生きている」
ただ暗澹たる空気に甘んじていただけなのに
最大瞬間風速的 能動的愛に出会ってしまった
関係ない見解を示して無視していても
彼女はすべて笑いながらキスをした
「機械的態度で応対されても困ります」
はっきりそう言われてしまったならもはやなす術はない
一切合切全てが本当に愛おしい
いつからかそんな風に思っていた
「今までのことは忘れないようにするよ
アイデンティティが揺らぐ頃に僕を思い出して欲しい」
「あたしたちはずっと一緒だと思ってた」
電車が近づく
「さよならヴァンパイア もういっそ全てが終われば
こんな悲しい思いなんてしなくて良いはずなのに」
「相対的愛なんて要らないの あなたの事一生忘れないから
覚えていて欲しいだけよ」
いつまでも鳴っているような汽笛が止まる
二人の前の扉が開く「笑い泣きが見られちゃうよ」
そう呟いた彼女の隣の彼が 黙って抱きしめた
「さよならヴァンパイア もう一度やり直してみようか
何度だって僕らは会えるさ ずっと覚えている 当たり前だろう」
「絶対的愛ばっか 感じているよ
これからはちょっとずつ前を向いてみようかな」
最終列車から見えた景色
「夏枯れだ」
彼の涙色の言葉が静かに落ちて溶けた暗闇
「何度だって会えるんだ いつまでも忘れないさ」
彼女の泣き笑い顔 遠のいた
さよならだ
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