冬は遠く、春蠢く。
少年の腕は未熟。
弓を持つ手が震えては、
今日も恵みにありつけず。

ハロー、ようこそ。会いたかったわ。
BGMはエバーグリーンを。
驚かせたくて、顔出した。
刹那、葉脈が波打った。

樹皮が裂け、息を呑む。
射抜かれてしまったーーー。
胸の奥の痛みを教えてあげなくちゃ。

旅路は終わりよ。
疲れているでしょう?
近目のうさぎも飛び跳ねてる。
ルイーナの丘まで遊びに行きましょう?
青い実を食べたのなら、帰せないのよ。
赦せないのよ、ロストアロー。


そうね、きっともう置いてけぼり。
城下町は忘れましょう?
鳥も、獣も、虫たちも、
愛を囁いているのです。


花は咲き、やがて散る。
矢の如く過ぎ去った。
儚くて淡い手に抱きしめられていた。

探してるのは矢の在り処?
せーのでまた、答え合わせをしましょうね。

「恋の在り処!」


白木を晒せば月日が咲うでしょう?
あなたも少しずつ痩せ細ってく。
夜明けが来るたび切なくなるのよ。
握る手が冷えきったら、冬がくるの。


アロー、抱きしめるの、
いつまでも、いつまででも、
胸の奥の痛みが続いて欲しかったーーー。


旅路は終わりよ。
代わりになりましょう。
あくびが出るほどには、永らえたの。

ルイーナの丘まで休みに行きましょう?
ほら、また目を細める、
還せないのよ、
赦せないのよ、ロストアロー。


冬は遠く、春蠢く。
いつかの傷が疼く。
夢の終わりと引き換えに、
今日も命が芽吹くのです。

ハロー、ようこそ。
奏でましょう、
とびきりのエバーグリーンを。
木漏れ日の中で顔出した。
どんな名前をつけようか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

森の女王とロストアロー

閲覧数:96

投稿日:2022/09/20 21:24:21

文字数:700文字

カテゴリ:歌詞

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