街に灯が点る頃
長い影も宵闇に溶けて
不意に胸をさらった
静寂に耳を澄ますんだ
色のくすんだ並木通りに
北風がむせび泣いてた
外套の襟に顔をうずめて
祈るように目を閉じた
心に真白な雪が舞う
煤にまみれた道を覆い隠すように
痛いほど冷たくて淋しい冬が
愚かなわたしを抱いた
街が寝静まる頃
人知れずに咲く花があって
誰に知られることもなく
そっと花びら閉じるよ
人影のないこの街にも
輝く季節があって
きっと誰もが待ち侘びてる
あたたかい春の訪れを
足元に眠ってる春の種が
冬の寒さを堪え強く根を張るように
淋しくて淋しくて唇噛んだ
夜がわたしを包んだ
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