今日も桜が見たいな
二つ返事で頷いた
あなたの手を取って
からかわれながら走った

弾む息　踏んだかかと
汗ばんだ手の温もり
転んで見上げた
茜色の桜と笑顔

傍どうし並んだ影
沈む日に別たれるまで
いつまでもそこに在って
今に耽る

鏡写し　過ぎゆく悠然
春を泳いで去る花びら
これからを疑うことも
知らずに見てた

散ってなお眺めたのは
儚さを知ったから
感傷を求めたのは
忘却へと至る手順だ

傍どうし並んだ影
遠き日を映した純然
いつまでも傍（そば）に在った
春の終わり

さよなら　あなたの傍
あの頃で散って還れ
何も持たずに
巡る季節へと征くよ