「風雲」の歌詞解説

<1番>
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動けば雷電の如く 発すれば風雨の如し
衆目駭然として 敢えて正視するものなし
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意訳:
動けば雷電のごとく発すれば風雨のごとし。
周囲の者はただ驚きぼう然とするばかりで、敢えて正視する者すらいない。
※この後、碑文は「これ、わが高杉君にあらずや」と続きます。
メモ:
高杉晋作顕彰碑の碑文の冒頭をそのまま。名文の作者は伊藤博文。
初代総理大臣も、幕末時は晋作に顎で使われておりました。
※顕彰碑は晋作のお墓がある東行庵(山口県下関市)に建ってます。

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神武起こってより二千年 億万の心魂 散じて煙となる
愚者英雄ともに白骨 まこと浮世は あたい三銭
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意訳:
神武天皇が国をおこして二千年。億万の魂が煙となって消え失せた。
愚者も英雄もともに白骨。まことこの浮世は三銭ほどの価値があるばかり。
メモ:
晋作の漢詩(慶応元年)そのままです。

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ああ翼あらば 行けるのに この海の遥かな先へ
それが叶わぬ 夢だとしたら せめて 刹那の風とならん
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メモ:
晋作の以下の和歌(安政6年)より。
「翼あらば 千里の外も飛びめぐり よろづの国を見んとしぞ思ふ」
※討幕派とされる高杉晋作は実は開国派。馬関(下関)を貿易港にしようとして命を狙われたことも。
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猛烈の奇兵よ 剣を抜け 銃を取れ
駆け抜けろ 時代を 命ある限り

猛烈の奇兵よ 哀しみは置いてゆけ
正も偽も飲み込んで 命を燃やせ
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メモ:
晋作の漢詩(慶応元年)より。
「猛烈の奇兵よ 何の志す所ぞ・・・(以下略)」
※高杉晋作は「奇兵隊開闢総督」なのです。

<2番>
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心肝いまだ灰せざるに 国灰せんと欲す
何人か 払いつくさん 満城の塵
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意訳:
心は灰になっていないのに、国は灰燼に帰そうとしている。
誰が払いつくしてくれるのか、城下を覆うこの塵を。
メモ:
晋作の漢詩(元治元年)の前半そのまま。

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西行く人を慕いて 東へと行く
我が心の内よ 神や知るらん
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メモ:
晋作の以下の和歌(文久3年)より。
「西へ行く人を慕いて東行く 心の底ぞ神や知るらん」
※西へ行く人は西行という説も。

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(以下略)

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内憂外患我が州に迫り 受恩の師友はみな黄泉
病が巣食いしこの身 独り 天日に対す
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意訳:
①内外の脅威がわが国(長州)に迫っている。
②恩を受けた師も友も黄泉の人となってしまった。
天日=太陽。
メモ:
①と②は晋作の漢詩(①も②も元治元年の作)から。
原文は「みな黄泉」ではなく「なかば黄泉」

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古より人は棺をおおいて決まる
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意訳:
昔から人の値打ちは棺の蓋をおおった時に定まるものだ。
メモ:
晋作の漢詩(元治元年)より。
原文は「古より人間は棺を覆いて定まる」です。

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高杉晋作は幕末に活躍した長州藩士です。
現在わかっているだけでも、三百近くの漢詩を詠んでいて、詩人になることを密かに夢見ていたようです。
そして、彼のもうひとつの夢は世界中を旅することでした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

「風雲」 歌詞解説

歌詞の内容に興味を持ってくださる方がいらっしゃるかもと思いまして。
自作ボカロ曲の歌詞解説です。

閲覧数:746

投稿日:2015/04/03 22:32:54

文字数:1,473文字

カテゴリ:歌詞

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  • 真神稲荷

    真神稲荷

    ご意見・ご感想

    幕末の世界観とテクノ調とのコントラストがカッコいですね。

    勁烈さや聡明さを備えたカリスマとしての一面の他にも、
    「面白くなき世の中を面白く」の辞世を残したロマンチストとしての一面まで、
    彼の生き様が曲からも伝わってくる気がします。

    たまにはと思いこちらの方に感想を書かせていただきました。

    2015/04/06 09:06:49

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