心と身体アンバランス
ボクの居場所 神の社

安らぎを求めさまよう

偽りだらけモノクロームの世界
逃げ出すように旅立つのさ神の都へ


春の調べに身を任せ、
ぶらりぶらり 都道
嵯峨野貴船 祇園八坂

四方八方 めくるめく
宵の明星 桜を照らす 
芳しさに 酔いしれていく


アンバランス ラビリンス
花びらの雨
アンバランス ラビリンス
夜空を満たす
アンバランス ラビリンス
異界の扉
アンバランス ラビリンス
今開かれた


丸竹夷二押御池 姉三六角蛸錦
四綾仏高松万五条 雪駄ちゃらちゃら魚の棚
六条七条通り過ぎ 八条越えれば東寺道
九条大路でとどめさす


“迷いは思考の残滓 捨てても 消しても 沸き出でる”


永遠に続く桜の茨道
一心不乱に大路小路を
走る駆ける
抜け出せないよ

花びらいつしか
人の姿になり  
色香放つ心惑わす
残響だらけ吐息交じりで

“ただ曖昧な、もどかしさを抱かない、純粋で無垢なる死の舞踏。倦怠の果てに訪れる、終わりなき悪夢。情事の果ての甘い蜜”

音無きつむじ風 轟音ざわめく嵐へ
夜空を彷徨う 呪縛の病
魑魅魍魎が蠢く宴の中で ボクは堕ちて行く…


桜の波に呑み込まれた
無限地獄 残滓の海

夜空には煌く星々
薄くれなゐの 境界のない世界

全てを満たす美しさは 狂気の僕

狂った果実 貪るボク
穢れの無い情事重ね

本当のあるべき姿を
醜さともに曝け出したい世界

春の病は夢うつつさ
いっそこのまま…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【GUMI V4】春の病は夢うつつ【オリジナル】

歌詞を作る前段階の設定を掲載します。
歌詞にする段階で落としていくものが、どうしても出てきてしまいます。

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主人公 17歳 FTM 身体=女性 心=男性
都立高校2年生 下町根津在住

ボクの身体と心はアンバランス。誰にも言えない疎外感。
ボクはぶつけようのない感情を半ば強制的に排除するために、寺社仏閣をよく訪れていた。
その空間だけは全ての事象から開放され、安らぎを感じら れる場所。
境内という名の結界から一歩踏み出すと、そこはいつもの居場所なきモノクロームの偽り空間。

ボクは高校2年生の春休みに、耽美なる異世界、京都へと旅立った。

嵯峨嵐山は化野念仏寺まで、東山は清水から哲学の道、修学院、曼殊院と巡り中心街へ…
夜もすっかり更け、心地よい花の香りに酔いしれていつしか見知らぬ小路を歩いていた。
夜桜が舞い散る。
視界を遮るほどに激しく。
意識が朦朧としてきたボクは
このままでは“呑み込まれる”と思い、通り名歌を口ずさむ。

丸竹夷二押御池姉三六角蛸錦…

しかし一向に視界は開けない。
音無きつむじ風に踊り狂う桜の花びら。
静寂の嵐が耳元で囁く、

「迷いは思考の残滓、捨てても、消しても、沸き出でる」

一心不乱に小路を走り抜けるが出口はない…
永遠に続く桜の茨道。

花びらはいつしか人型へと結集し、この世のものとも思えぬ美しき女へと姿を変えた。
怪しき色香に包まれた視線を向け、著しい残響音を連れて言葉を発した。

「ただ曖昧な、もどかしさを抱かない、純粋で無垢なる死の舞踏。倦怠の果てに訪れる終わり無き悪夢、情事の果ての苦い蜜」

春の長閑さは唐突に、音無きつむじ風は轟音ざわめく残酷な嵐へ。
夜空を彷徨う呪縛の病
魑魅魍魎が跋扈する狂気の宴の中で、ボクはついに意識を失う。


眠りから覚めると、辺り一面、美の残滓、無限の桜に満たされる。
頭上に煌く星々は、狂った桜と同化した。

終わりなき美しさは底知れぬ恐怖
完全なる恍惚は呪いの僕

それでもなお、その美に酔いしれて死滅したい…
穢れ無き情事に身を委ね、僕のあるべき本当の姿を晒すのだ。

春の病は夢うつつ
いっそこのまま…

閲覧数:191

投稿日:2016/06/28 22:35:17

文字数:634文字

カテゴリ:歌詞

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