永久恋花(とこしえれんか)

雨ふり　つれないあの方のお帰りはまだ
庭に濡れる花　切なさに
傘　差しかける

我は牡丹(ぼたん)
艶めく髪は
薄紅(うすべに)頬の熱隠し
我　菊花(きくはな)
真白花弁(ましろかべん)
赤く染められし

カラコロ下駄鳴る春小路(はるこうじ)
そぞろ歩いて
お前のようだとあなた言う
花の名知らず

我　夕顔(ゆうがお)
褥(しとね)に薫る
睦言(むつごと)のかぐわしさよ
我は　椿(つばき)
ぽとり落ちる
涙か、それとも

かき乱され惑わされ
芽生え咲き散るごとし
私を花と笑うか
あぁ背の君(せのきみ)

お天道様(おてんとさま)を謀り(たばかり)
散る定めに逆らう
私の罪を嗤うか
愛(いと)し背の君(せのきみ)

我は　梅花(ばいか)
凍えてしまえ
別の花愛でるならば
我は　桜
いざや咲かん
とこしえの恋花(れんか)