「兎の壊した懐中時計は、
 マイナス1時を指して動かない。
 一面の麦に、夕凪の彼方に、
 私はあなたを…」





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『誰が為に歌う?』猫が嘲る。
『誰が為に歌う?』女王が笑う。

 ウサギがカードが帽子屋が、可愛いアリスと呼ぶのなら。
 私は叫ぼう。アリス、アリス、アリス。
 可愛いあなたの為に歌おう、アリス、アリス、愛しいアリス。
 私の喉で、私の音で、あなたの歌を、あなたの為に――
 ――『いつかあなたに届くように!』

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 乾いた蝶の花が シラカバの下で咲く
 水枯れた井戸は趣だけを満たして

 ころりと転げ落ちた白い貝殻 ひとつを
 一枚の金貨にたとえて差し出した

 鮮やかな世界の中 あなたはいま彩を忘れ

 白い世界に白い花束を 鮮やかな君に有色の幸を
 伝えたい詞は…
 まだ あなたに届かないようで



 光の届かぬ夜 深い深い霧の中を
 泳いで過ぎゆく 魚のようなともしび

 崩れ落ちた世界の中 子猫はいま蛙を抱き

 かつてあなたに捧げた花束 角砂糖のように甘くもろいそれ
 時の流れに溶けてしまわぬよう 両手で固く握りしめた



 ああ アリス 私のアリス どこに生きているのだろう?
 真昼も夜も夏も冬も 何度でも あなたの名を呼ぶ
 ああ アリス 私のアリス あなたを探し続けている
 またあなたと生きるときが来るように――

『いつかあなたに届くように』



 白い世界に 白い花束を 鮮やかな君に 有色の幸を
 伝えたい詞は…
 まだ あなたに届かないようで



 白い世界に 透明な光を
 重ねた唇に 有色の幸を
「眠った篝にはじまりの朝陽を!」
 …私はここで叫んでいる

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

深層彩光(仮)

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閲覧数:93

投稿日:2011/06/05 13:21:02

文字数:728文字

カテゴリ:歌詞

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