旅人のレクイエム

熊谷幻斎

♪
君はぼくらに背中を向けて
旅仕度して　そのまま立ち去っていった
さよならの一言もなしに

そして昨日はじめて知った
君があんなに遠く離れていた場所を
歩いていたということを

はるか旅の空で　君が何を見ていたのか
今はもうわからない　知ることはかなわない
requiem　旅の半ばでたおれた君に

君はぼくらの知らない道を
ひとりぼっちでただ黙々と歩んでた
雨の朝も　嵐の夜も

そんなことを少しも知らず
ぼくは君との思い出を胸にしまって
平穏な日々送ってた

長い旅の中で　君が感じていたことを
今はただ知りたいんだ　ひたすらに知りたいんだ
requiem　旅の半ばでたおれた君に

君を腕の中に　抱いていたその時さえも
君のこと知らなかった　知ろうともしなかった
requiem　旅の半ばでたおれた君に