降りしきる雪の音は
静寂(しじま)の中に埋めて消えた
割れたグラスさえきっと
静かに崩れてしまうよ


「また会えるかな」
その声はどこか
離れる磁石を
合わすような歪さで

もしこの雪が綿のように
音も吸うのならば
あなたとの“今”
集めてもう溶けて欲しい

二人は　二人の為に
離れてゆける斥力
それでも触れたがる引力で
泣いていた

さよならさえも聴こえない
「きっと　なにも言わなかったよ」なんて
お互いに思うグラスはもう
割れたことにも気付かなくて



「また会えるかな」
もう会えないんだ
また近付いたら
離れられない磁石

今まで歩いた道を
真っ白　埋めた足跡
響いた背中合わせの足音も今は

さよならさえも聴こえない
まだ　割り切れずにいる心でも
お互いを想うグラスはもう
二つ分かれた半分ずつ



最後までずっと残った雫
こぼさないように
グラスの恋を
いつも二人で傾けた

どこまでも広い雪原はいつか
世界中の音を返して
二人の心をホントの白に
染めて戻して
ゆっくり時間が動く
気付けば……



(読み)

ふりしきるゆきのおとは
しじまのなかにうめてきえた
われたグラスさえきっと
しずかにくずれてしまうよ



またあえるかな
そのこえはどこか
はなれるじしゃくを
あわすようないびつさで

もしこのゆきがわたのように
おともすうのならば
あなたとのいま
あつめてもうとけてほしい

ふたりはふたりのために
はなれてゆけるせきりょく
それでもふれたがるいんりょくで
ないてた

さよならさえもきこえない
きっとなにもいわなかったよなんて
おたがいにおもうグラスはもう
われたことにもきづかなくて



またあえるかな
もうあえないんだ
またちかづいたら
はなれられないじしゃく

いままであるいたみちを
まっしろうめたあしあと
ひびいたせなかあわせのあしおともいまは

さよならさえもきこえない
まだわりきれずにいるこころでも
おたがいをおもうグラスはもう
ふたつわかれたはんぶんずつ


さいごまでずっとのこったしずく
こぼさないように
グラスのこいを
いつもふたりでかたむけた

どこまでもひろいせつげんはいつか
せかいじゅうのおとをかえして
ふたりのこころをホントのしろに
そめてもどして
ゆっくりじかんがうごく
きづけば