体中に亀裂のように
赤い筋を走らせていく
流れ出る液体が
初めて僕に
生の実感を与えてくれる
大丈夫
まだ 赤い
痛みすら現実への道標
夢と現と幻が
当たり前のように揺れる
今は夢か
今は現か
今は幻か
曖昧すぎて分からない
何もかもが不確かで
触れればすぐに
ぶれてしまう
崩れてしまう
たとえそれが
夢でも
現でも
幻でも
僕の前に漂うそれは
氷細工のように
脆く儚い
体中に亀裂のように
赤い筋を走らせていく
大丈夫
まだ 赤い
他人との違いに息を呑む
僕の欠陥に絶望する
世界は嘲笑に満ちていて
優しいくらいに残酷だ
温く甘くゆるやかに
絶望的なまでの速度で
僕の首を締め上げる
冷たいくせに甘いふりして
期待させて突き落とす
孤独になれば構うくせに
擦り寄れば放される
些細な事と笑うなら
きっと そう
僕が欠陥製品なだけ
他人が楽にやり過ごす
そんなものにすら
反応して
勝手に傷ついている
馬鹿な欠陥製品なだけ
体中に亀裂のように
赤い筋を走らせていく
流れ出る液体が
初めて僕に
生の実感を与えてくれる
大丈夫
まだ 赤い
まだ 生きている
まだ 僕は世界に参加している
大丈夫
まだ、まだ、まだ――
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