染まりし黒のカーテン 夜の色を映す部屋には
腐りかけのレモンジュース
纏いつく残り香 ざわめき塗り替える土砂降り
ただ一つあった光の色が 君の摘んだ花だったの
まだ早すぎる 二人の国へ
君の翼で連れて行って
斑のこころ 逆らうことも
知らないほどに幼くて
徒花よ 紫陽花の君には届かない 陽の光よ
雨粒と僕だけが触れられる花弁 柔らかに萎れ逝く
うずくまる強がり 後の祭りと去りゆく時
夢のままでなんて許されないよ
僕に触れたひととき
それきりだった
出来心 花泥棒
君の指に摘まれて彩を放った
盗人は君を愛すだろう
徒花よ 紫陽花の君には言えないよ 名前を呼んでも
雨粒と僕だけが見つけた花弁が ひらり
傍らのゴミ箱の中には
腐りかけの 君の抜け殻
淋しさを滲ませた窓ガラスを這う
幻は君の影
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