桜は人の心を惑わす、というのをテーマにした歌詞です。
今回は恋愛のみに話を絞っています。
世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
(世の中に一切、桜というものがなかったら、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに)
【出典:http://matome.naver.jp/m/odai/2130147517863430701】
こうした歌があるように、桜は古くから人の心を惑わし続けてきました。
たとえばお花見のとき、人は無条件に浮かれた気分になります。
粋な江戸の町などでしたら、ただ桜が咲いているだけでもどこか浮かれた気分になるでしょう。
そうした町の熱に浮かされて、主人公と彼は恋に落ちます。主人公は途中から本気で彼のことが好きになるのですが、彼は最後まで熱に浮かされているだけでした。
だから桜が散ってしまえば、恋の熱は冷めてしまいます。桜が散る頃、彼は主人公に別れを切り出します。主人公は引き止めますが、彼は離れてしまいました。
恋人を失い、悲しみにくれる主人公。ふと手のひらに落ちてきた桜の花びらを見て、かつての彼のように、桜に惑わされる道を自ら選びます。
これは、叶わない恋だと知っていながらも、彼への想いに身を焦がし続けることを意味します。
A
雨のように降り注ぐ花 人の波 流されて 恋
暮れなずむ 紅の町 彼の人と手繋いだ
ひらひらり 舞い踊る花 其処彼処(そこかしこ) 桜色
嗚呼 別れの音 何処からか 聞こえてる
→雨のように桜の花びらが降り注いでいる。人ごみの中、彼に出会って恋をする。(周りの浮かれた雰囲気に『流されて恋』をする、という意味も含みます)
暮れなずみ、夕日の赤に染まる町で、彼と手を繋いでいた。
町には桜の花びらがたくさん舞い踊り、其処も彼処も桜色一色に染まっているようだ。(誰も彼も桜の熱に浮かされている、という意味も含みます)
しかし、桜が散りきってしまえば恋は終わるので、桜の散るこの光景は(今思えば)別れを示唆しているようでもあった。
B
夢か現か幻か 「さよなら」
→彼に別れを告げられる。
あまりに衝撃的だったので、夢か現実か、それとも幻か、区別がつかない。
S
消えないで 舞い落ちる花
伸ばす腕 遥か遠く
黄昏に溶ける背中を
見送れぬほど うち泣く
→舞い落ちる花がなくなってしまえば(=桜が散り終われば)、もう彼が自分を愛することもない。だから、ずっと舞い続けていてほしい。
彼に手を伸ばすが、もうすでに遠くまで行ってしまっている。
黄昏に向かって歩いていく彼の背中を、
涙で見送れないほどに泣いている。
A
月影の照らし出す指 人知れず 熱帯びたまま
降り注ぐ花びらに 彼の面影をさがしてる
ひらひらり 手に降りる花 訳もなく 落つ涙
嗚呼 受け取りし 夢路への道しるべ
→夕暮れ時から夜になるまで立ち尽くしていた。月の光が、主人公の指を照らし出す。泣き腫らして身体が熱くなったので、まだ指も熱を帯びている。
たえず降り注ぐ花びらを見て、彼との恋の記憶を思い出している。
ふと手のひらに花びらが落ちてきた。
それが桜に惑わされる世界への幕開けと思われたので、失恋した今でも彼を想い続けていいのだという感慨に浸り、涙をこぼす。
B
心に吹くは花嵐 何時でも
→心の中には、花嵐のような激しい恋心が常に渦巻いている。
S
許されぬ 想いを抱いて
桜木の下(もと)に沈む
狂い咲くような恋心
届くことないとしても
→別れた彼への恋心、というあまり好ましくない想いを抱いて、
桜の魅せる幻影(彼といたときに感じたような高揚感など)に身を委ねる。
時期外れに咲く花のように、恋愛関係が終わってもある恋心。
届くことはないとしても、私は彼を想い続ける。
S
消えないで 舞い落ちる花
伸ばす腕 遥か遠く
叶わない夢に犯され
古(いにしえ)の時に眠る
→ずっと彼のことを想い続けていたいから、舞い落ちる花は消えないでほしい。
花びらに向けて腕を伸ばすが、風に舞う花びらは捉えどころがなく何処か遠い。
彼への恋心の成就、というもう叶わない願いに囚われている。
それでも彼が振り向いてくれるまで、何年だって待ち続ける。
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