どこかのデパートの売り場の片隅の
人気も無いようなちっぽけな展覧会
だけどなぜか僕は吸い込まれるよに
何度も何度だって足を運び続けた

理由なんてない ただ「いい」と思っていた
一枚の絵の脇に 座っていた君はある日

顔を上げ目を合わせ僕に向け微笑んで
「いつも私の絵を見てくれてありがとう」
そう一言投げかけて何も無いようにうつむいた
僕の心の奥の何かに 灯が燈った



その夜に僕は便箋を取り出した
うまく口にすることなんてできないから
白い紙と掌はすぐに黒く染まった
ゴミ箱は紙くずで埋め尽くされていった

窓の外から 小鳥の声が聞こえてた
眠い目擦って 僕は手紙に封をした

不恰好で飾りも無い 無駄だらけの言葉でも
「いつも僕の心を溶かしてくれてありがとう」
そう一言伝えたい だから僕は出掛けたんだ
ありのままの僕の想いが ここにあるから


展覧会のあった場所は 何も無かった
君の親が倒れて 急に引っ越したって そんな事 後で知った


言えなかった返事は 今も僕の手の中
名も知らない君に宛てた飾らない「ありがとう」
ただ一言綴り上げた 言葉は虚空にさえ
消える事許されず 少しずつ滲んでった

たぶん僕はもう二度と 君と会わないだろう
そして僕は忘れるだろう 君の事も君の絵も
だからこそ僕はこの手紙 破きも捨てもしないんだ
一日でも僕が抱いたこの気持ち 忘れたくないから

君に宛てた 届かない「ありがとう」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

Dearly Word

実話が元だったりします。
伝言板に「見てくれてありがとう」と書き込んでくれた、
そして返事を出せないまま去ってしまったヒトに捧げます。

願わくばこの歌がそのヒトの元に届きますように。

閲覧数:164

投稿日:2008/05/22 02:40:16

文字数:617文字

カテゴリ:歌詞

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