ヒトトナリ　カラオケ　2mix

隣の席に座った小柄な老人の
その肌に刻まれた膨大な年月に
僕みたいなもんなんかが到底敵うはずもなくて
心の中で何度も自分を殴っておきました

隣の家の芝生があまりに青かったので
思いきって我が家も全部植え替えてみたら
柵一枚手前なだけなのにどうやらウチの庭は
水はけ悪くて全部腐ってしまいましたとさ

人と人が支えあっているかはあやしいもんだけど
「人」という字はそうやって成り立っているらしいし
もしこの世に人が自分しかいなかったとしたら
とても生きてはいけないっていうひみつ道具もあったよな

僕はあなたの人生にまんまと登場してますが
生まれた時には誰もそんなの予想なんかできなくて
それでもこうして今僕はあなたの隣にいるわけで
ベタではありますが運命とは素敵なものですね

隣の部屋から深夜になると聞こえてくる
冴えないサラリーマンの歌うブルーハーツに
眠りを邪魔され腹を立ててはみるのだけど
美しくもないドブネズミの僕は壁ドンもできません

隣の客がさっきから柿ばっか食べてるので
なんだか自分も食べたくなって買って帰ったら
このタイミングで田舎からも仕送りが届いて
一週間の柿生活を余儀なくされました

人として一人前になれとかよく言われるけれど
そんなに食べられないから八分目ぐらいでいいし
まだまだ半人前な僕らをここはひとつ合わせて
ふたりで一人前とか言う屁理屈ではダメですか

僕は今この人生にほとほと参っておりますが
かと言ってこれ以外はとても想像なんかできなくて
例えば今この瞬間に隣にあなたがいなければ
なんてこと思うとより一層愛しいもんですね

僕はあなたと人生をこうして過ごしておりますが
実のところ隣は今まで何度でも入れ替わってて
巡り巡ってこれからはあなたが隣にいるわけで
ベタではありますが運命とは素敵なものですね
時には皮肉なこともあるけど
でもやっぱり素敵なものですね

隣の席に座ったこの小柄な老人も
長い人生を生き抜いたんだと無言で語ってて
流石にその本質まで教えてもらえはしませんが
僕もいつしか自分を誇れる人となりたいです