『終焉狂想組曲』正義、運命、脆ク儚ク
『終焉狂想組曲』正義、運命、脆ク儚ク
「王は告げたのだ。
我ら神々が統べる世界こそ、全ての者を救うのだと。
さあ!」
世界を守り、世界を救う
正義のために彼は剣を振るう
運命は神を選んだという主君の言葉をただ盲目的に信じて
「我らが神々の悠久の主君よ。偉大なる世界の王よ。
この剣を振るい守るべき者を示せ。
神の裁きを咎人に。」
神々は蹂躙する
盲目的に彼も続く
己が正義を証明するように
しかし彼は足を止める
目の前には少年と少女
重なり合う運命に彼は剣を振るう
「人間よ、思い上がりの果て運命に抗うのか。
厄を滅ぼす力も持たぬ分際で!」
「悪魔よ、彼の者と組して運命を壊すというのか。
元は我らと同じ血族の存在で!」
私はこんな幼い子たちの命まで奪わなくてはならないのか?
私の信じる正義とは、このような者を守ることではなかったのか?
彼は剣を止める
正義は脆く崩れる
救うべきものの手によって
少女は問いかける
剣を握る意味を
彼はもう戦うことができなかった
彼は世界を守れなかった
正義を守れなかった
しかし世界は確かに救われた
崩れ行く世界
それを見て彼は思う
一人生き残った運命の行く先を
血塗られたこの運命の選択に彼は何を思うのか
守るべきものを失ってなお
悠久の時を生きるのか