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【童話?】不思議の国の黒いアリス 2

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キヨト

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▼気違いお茶会

 お茶のテーブルは大きくて椅子もたくさんあるのに、二人は隣り合って(しかも肘が触れ合うくらい近くに)座っています。
 寝ている方の頭には丸い動物の耳がついていました。どうやらウサギではなさそうです(そしてそれは眠りネズミでした)。もう一人は大きな山高帽を被っていたので、きっとこれが帽子屋だろうとアリスは思いました。帽子屋はティーポットを手に、どうやら眠りネズミの頭にお茶を注ごうかどうしようか考えているようです。

「あのー、」

 アリスが声を掛けると、帽子屋は手を滑らせて(本当でしょうか?)ポットを傾けてしまい、お茶を浴びせられた眠りネズミは「ギャッ」と叫んで飛び上がりました。

「今日和お嬢さん、いかれたお茶会へようこそ。生憎テーブルは満員だけど、座って一緒にお茶でもどうだろう」

 振り向きざまに眠りネズミを突き飛ばした帽子屋は、にっこり笑ってアリスに話し掛けてきました。

 帽子屋はアリスよりいくらか年下のきれいな男の子で、鮮やかな水色の目が穏やかに光っていました。大きな山高帽の下から伸びる髪は黄金色で、光の加減できらきらと輝きます。白襯衣に赤いタイ、焦茶のヴェストを着て(座っていたので、そこから下は判りませんでした)、見た感じは小さな紳士そのものです。帽子屋が喋りさえしなければ(或いはにっこり笑う帽子屋の後ろで、椅子から転げ落ちた眠りネズミが芝の上にばったり倒れていなければ)、アリスは帽子屋を普通の人だと思ったかもしれません。

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これhttp://piapro.jp/content/04jcchos5tg7nyrrの続き。
前のバージョンに続く。(絵は変わりません