【童話?】不思議の国の黒いアリス 1
▼ウサギ穴を通って
「不思議の国へようこそ、黒いアリス。黒ウサギは黒いアリスを歓迎するよ」
どこかに白いのもいるんだろうか。
そう思いながら、アリスは目を瞬きました。それから、もしかしたら自分は今寝ているのかもしれない、とも思いました。気付いたら目の前に黒ウサギがいた、なんて事になれば、大抵の人はそう考えるでしょう。なにしろ黒ウサギときたら、頭の上にぴょこんと生えたウサギの耳以外、まるきり人間の女の子なのです。アリスは上から下まで、無遠慮に黒ウサギを眺めました。
黒ウサギはもちろん黒いドレスを着て、首からは金色の鎖時計を下げています。スカートの下からすらりと伸びる脚には、白のニーソックスと茶色い革靴。白い肌にぱっちりした水色の睛、薄い唇は楽し気に弧を描いて、なんだかウサギというよりは猫みたいです。けれど金色の髪の間から飛び出しているのは、確かに黒いウサギの耳でした。
「…夢?」
だといいなぁ、という希望を込めた言葉は、黒ウサギの微笑に跳ね返されて虚しく砕けました。
しかし意外に適応能力の高かったアリスは、他の全部(主に着替えた覚えがないのに服装が変わっていること)を放っておいて、取り敢えず一つだけ言いました。
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http://piapro.jp/content/aarpsnk2mky5gkujで「それでもいい」と言って貰えたので、調子に乗りました。
前のバージョンに続きますが、絵は変わりません。