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輪廻の兎-instrumental-

YusukeKondoOfficial

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「輪廻の兎」

生まれしは草籠の中
白毛、赤目、なのめなりき
一つの違(たが)ふがありとせば
時を越え彼を偲べり

朝餉を食むこの眼に
倒れ死なむはきは高し
武士(もののふ)が我をまもれり、ふと
やをら言の葉を投げかけき

「貴(あて)なし方(かた)の下知(げぢ)にて父(あて)と兄(このかみ)を殺めよとの命に背きて、
追われし身よ、汝の如く自然ならばや」

飢ゑと矢傷の広い背(そ)は
げに優しくもいたづらげに
ただ恋しぬる我が体を
炎へ焚(く)べ、彼の供物とせり

な案じそかし
あげらるるものは斯かるものの他には無し

ひと目見て彼とおどろく
かたは戦(いくさ)の半(なか)ばなり
武士ならば為ん方無しと
四度(よたび)生まれし時を思ふ

抜き身の刀は血にて染まらず
手負ひ人を守りし彼
あゝ恋し、焦がれる耳
弓引く音、彼へ走る

牙と矢じりの区別なく
赤眼の如く羽は染ろふ
ただ逢ひ死ぬる我が体を
優しく触れる彼の腕(かひな)に泣く

「移ろはぬ君」
「汝は彼(か)の時の」
「やうやう心地を伝へらる」
「すくめ、な死にそ」
「幾度にもまた君を」
『守る。やむごとなき生(せい)を』

百の時を越えて
かの契(ちぎ)りを
彼と(汝と)果たさむ
されど回ごと引き裂かる

生きて会ふごと別れ死ぬ
あゝ、また逢ひ奉らばや
泣き顔の君、いとらうたし
いつか君の傍らならばやと

時凍らせし永久の顔も
いま死なばやと願ふ声も
ままなる君を受け入ればや
輪廻のきはを探(たぐ)ろはむと思ふ

な案じそかし
忘らるる者は心強(こは)き化け兎よ
濡れた月の草籠切り
恋しき輪環よさらば