あめのひ喫茶
ニコニコURL:
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7024530
休日 お昼過ぎ 小雨が降り
約束の時間がやってくるまで
近所の うらぶれた喫茶店で
雨露つきの一枚絵を眺めてる
鈍色がかった 仏頂面の空
生垣が濡れた地面を見つめてる
水たまりをわざと踏んでく男の子
しとしと ぱらりら あめのひ喫茶
奇天烈な名前の創作ランチは微妙な味
スピーカーは壊れてて 静寂が混じり合った
空調が かき消す 雨音を
思い浮かべてリフレインした
アンティークの椅子 アイボリーの壁紙
店を彩る原色な造花の群れ
お客は私をいれて たったの三人
雨降り特有の まぶたの重い 倦怠感
一人は背の高い 黒ずくめの若い青年
もう一人は太った 狐目のおばさん
二人の人生を遡れるほど
想像力はない
愉快なあだ名を命名するほど
発想力もない
からっぽのコーヒーカップ あめのひ喫茶
スプーンで湿気をかき混ぜて 淀んだ黒目をうつしこんだ
意味深な伏線も 現実にはそうそう意味が無くて
過ぎたる期待が 心に空洞を生んでしまうんだ
そろそろ約束の時間 あめのひ喫茶
黒い男もおばさんも 傘を広げて出て行った
いつのまにか 客は私一人 店員さんの意識が
気まずくて 押しだされるように 重い腰をあげた
晴れかかった空 あめのひ喫茶
傘をわざと忘れて 君のもとへ向かおうか
そんなことを ふと思い立ったけど
結局やめた