蜉蝣.off vocal
『蜉蝣』
夏の暑さが嫌いだ 全て私から奪っていく
向日葵が高く咲いていた 私を見下す様に
拙い命を紡いだ 怠惰な日々を過ごしている
訳ない言葉刻んだ 「生きているだけで偉い」
Love なんて簡単な言葉で
満たされた そんな気がしていた
刻々一刻と いつしか私
藍、逢、哀、穢、愛に染まってしまっていたんだ
サヨナラも言えなかった 蝉の音が煽るんだ
ただ立ち竦む私を
あの朧げな景色 目に焼きついている
陽炎が貴方を暈して消したんだ
夏の暑さが招いた 夢物語のストーリーだ
嫌った言葉を放った 「私はなぜ生きてるの?」
ある日木陰から現れた
貴方は少し笑った
こうなることが分かっていたんだね
貴方が隣にいてくれれば
夏は越せる 思っていた
灼ける痛みも感じられずに居れたんだ
だから今は
暑い 脆い 痛い
少しの灯火だった 余生を生きていた
追うものもなく たった独りで
生きていると思える それだけでよかったんだ
次の夏はもう二度と来ないんだ
Like a shimmer 儚い命は
夏に溶ける 涼しげに消えていく
煌々燦々と 照りつく空が
蒼には見えなくなってしまっていたんだ
優れた人に縋った 誰かを生きていた
他愛も無い馬鹿げた愛で
これは何でもなかった そこに私はいなかった
そうただ言い聞かせるしか
サヨナラも言えなかった 蝉の音が煽るんだ
ただ立ち竦む私を
あの朧げな景色 目に焼きついている
陽炎が貴方を暈して消したんだ
扇風機の風も 少しも揺らさなかった
微々たる灯火を
貴方が運んだ 少しの涼風が
消してしまったんだ
夏も命も終わった
残るはこの身と それだけ
今になって聴こえて来るのは
茹だるような風鈴の音だけ