氷点夏
氷点夏
作詞・作曲/晴日しもつき
ぼんやりと明るむ 空の色
濡れた空気の街 朝霧の中を
片手に燃え尽きた花火を
片付けたスーパーの袋
耳の奥に鳴り響くのは
昨日の祭囃子
汗で貼りついた Tシャツ
君の手の中で 揺れる水ヨーヨー
まだ別れたくない 仲間達と
アルコールと睡眠不足で
寝ぼけた瞼をこすりながら
僕らあてどもなく 海沿いの道
錆びたガードレール 腰掛ける
口数は少なく 水平の彼方
カモメが弧を描いて飛んで
みんなそれを目で追っている
そんな風に僕らは夏を
何度も繰り返した
きっと今年がみんなと一緒に過ごせる
最後の夏になる
約束をするのも 果たすことも
ずっと好きだった君に
この気持ちを打ち明けることもできず
僕らの夏が往く 遠い蝉時雨
トラックが近づいて
遠ざかっていった
排気ガスのにおい
少し喋って
また家路につく
涼風が僕らの気持ちを
優しく撫でていく
昨日はあんなに暑かったのに
今は少し肌寒いくらい
気持ちは氷点下
路地を曲がる
その度一人ひとりが
それぞれの路を歩きはじめていく
最後に君と僕
手を振って お別れ
ずっと好きだった君に
この気持ちを打ち明けることもできず
僕らの夏が往く
僕の夏が往く
長い髪を
風に遊ばせながら