螺鈿の骨(おふぼーかる)
螺鈿の骨
一つあなたがくれた くちづけを
思い出して倖(しあわ)せだった
慕っております背中に指で
なぞれば目蓋(まぶた)も熱くなる
焦がれる想い火(おもいび)ぢりぢりと
誘われ花蝶(かちょう)も焼き尽くす
螺鈿(らでん)の骨まで愛してほしいの
白磁(はくじ)の首筋噛み付いて
雨の色も散りゆく花も
みんな貴方が語ってくれた
愛の唄も揺れゆく鼓動(おと)も
みんな貴方が騙(かた)ってくれた
此の侭(このまま)月よ沈まぬように
願えど貴方は居なくなる
螺鈿(らでん)の骨まで愛してほしいの
白磁(はくじ)の首筋噛み付いて
濡羽(ぬれば)の黒髪解(ほど)けるままに
送った桜花(おうか)の小指さえ
灰となったわたくしのおめめに
咲く花をまた愛(め)でて欲しい