「夜と幻」 inst
答え無い日々の問いに乾いた明日を見た
気づけば、とうに咲き終えた花
別れはいつも想いを残して消える
夜のように
浮かんだ月の例えを「まるで心」だと言う
いずれは影に隠れていく、と
鮮やか夢も、窓辺の朝も
肌に触れただけの恋も
思い出せないほど古い日の細やかな事でさえ
滲んだ瞳のまま
言葉にならないなぁ
いつかは伸びきる背と髪が
私をかたどる傷になる
洗い流す涙が染みて痛いんだって
もう、春なのに
真夜中、海の匂いを微かに纏わせた
あすがれの波と、揺れ立つ羽と、情けない話
厭いのその息づきも沈めてしまうよ
このまま伸びきる背と髪が
私をかたどる傷になる
洗い流す涙が染みて痛いんだ
まだ?
淡い陽が夜を攫って
私ごと幻に変えた
色に染まる花の可憐さにも笑えないんだ
もう、お終いね