未完成の歌
初めて歌う拙い歌は
あなたの優しい目を謳う
柔らかで暖かい眼差し
目尻に皺の出来る笑い方
伝えられないほどにあなたが
私の中で膨らんでいく
どんな言葉に乗せられるかな
どんな音色で伝えられるかな
残されたままの古い写真
崩れ落ちそうなスコアブック
全部わたしが歌えた時には
笑顔で褒めてくれるよね
苦しくて泣きたくて
迷いがもしも生まれたなら
最初に戻ればいい
ドレミファソ
未完成の歌
少しずつ言葉を覚えれば
なんとなく世界が見えてきて
拙さ薄れて燻ぶりだす
景色が鮮やかで目が眩む
「伝えたい」
それなのにあなたは
遠くで霞む綺麗な人
ありふれた言葉を紡いでは
泣きながら強く繋ぎとめた
アルペジオ細く重なっていく
ひとつづつ意味があるの
気付いてくれなくても歌うよ
あなたがくれた音たち
大好きで愛しくて
届かぬ声 やりきれなくなって
小さく口ずさむ
ドレミファソ
未完成の歌
この歌は忘れない
スコアも写真も朽ちたって
私は忘れない
大好きで愛しくて
あなたが笑ってくれるのなら
きっと埋まるはず
ドレミファソラシド
歌うんだ