翔破の投稿作品一覧
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約束をした。
思い出す景色は満開の桜で彩られている。
『やくそくするよ!』
『やくそく?』
その時、僕は子供の必死さで誓った。
『いつか、リンがもどってきたら』
『うん』
その時は疑いもなく叶うものだと信じていた。
『僕がリンを守りたいんだ、ずうっと』
『・・・えっ』...桜に、雪に(私的花吹雪・風花舞)1
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俺に声なんて必要だったのかな。
私は目を丸くした。
その発言主であるレン君は静かに繰り返す。
「俺に声なんて必要だったのかな」
「・・・それは、必要なんじゃないかなぁ」
だってそもそも私達は歌うために存在しているんだから、声が無かったら大変なことになるんじゃないだろうか。
―――レン君、何かあったの...恋とはどんなものかしら
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注:キャラ崩壊が甚だしいですご注意ください
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私の名前は鏡音リン。ご存知VOCALOID02の一人。
年齢は14、性別女。最も電子の世界でどこまで価値有る情報かはわからないけど。
さて今回問題に上がるのはナンバー02のもう一人、鏡音レン。鏡の中のわたしだか双...僕は君に適応しました
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わたしは可愛いお人形を持っているの。レンという名前よ。
私の言うことにはハイ、ハイと頷くとっても従順なおもちゃ。
檻の向こうでわたしに跪づく、とても綺麗なおもちゃ。
そして、何と言ってもレンは生きているのよ。自我だってあるし壊れ難さは段違い。
どうして手に入れたのだったかしら。覚えていないわ。
気付...私的篭ノ鳥
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枕元のシーツが微かに揺れた。
おなじみになってしまった、涙が落ちた振動。
そんな感触までわかるようになった自分に心の中で苦笑する。
どこまで敏感になるつもりなんだろう、私の感覚は。何年もこうしていたら変わっていくのも当然かもしれないけど。
また涙が落ちたのを感じる。続けざまにぽつぽつ、とシーツが揺れ...いのちの証(私的proof of life)
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白い雪が降る。
俺達の立てる音は足音でさえ飲み込まれて消えてしまう。
「ねーレン」
「ん?」
寒い・・・けど別にそれは嫌じゃない。俺達、人間じゃないし。
ただ視界の全てが白いのは、ちょっと不気味だ。
「カイ兄、さ」
「うん」
「きっと幸せだったよね」
「え?」...音のない声(私的soundless voice)
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ピピピ、という味も素っ気もないコール音に意識がクリアになった。
時計を確かめると朝の4時。
こんな時間に何だってんだ。非常識。
誰から、と画面を確認して、ちょっと唇を持ち上げる。
見慣れた表示。
なんだ、お前かよ。
通話ボタンを押して、流れ出してくる声に耳を傾ける。滑らかな、落ち着いた声だ。
年上で...しょうがない話
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リンの様子がおかしい。落ち込んでいるのか、ずっと暗い顔をしている。
思えば昨日の夜から変ではあった。どこか上の空で、朝起きた時には泣いていた跡もあった。
どうしたのか聞いてみようかとも思ったけど、触れられたくないっていう気持ちが伝わって来たんじゃ手の出し様がない。
どうしたんだろう。
考えつく理由は...私的アドレサンス(後)
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「リン、レン、自分の部屋が欲しくないか?」
始まりは父さんの一言だった。
「え―?なんで?」
私は口を尖らせた。だって別に不便があるわけじゃないし、今までもずっと同じ部屋だったし。なんでわざわざ分けなくちゃいけないのかな。
お父さんは暢気な顔で指を立てて見せた。
・・・あんまり可愛くない。いつも以上...私的アドレサンス(前)