神楽凛

右手で取った宇宙に名前をつけて
左手に持ったペン先は宙を舞った
大人になって抱く夢は
どんなに偉大なんだって
信じて願ってたんだよ
「どうして？」
「ごめんね」
右手に持った宇宙に色をつけて
左手に持ったパレットは空のまんま
大人になって見る景色が...

同じ言葉は繰り返せば脆く
ひっくり返せば 込み上げるは欲
失意の闇 部屋の片隅で
行き場なくし彷徨う
空と時の果てに波があり
僕はそれが時々見えなくなる
部屋は虚ろ 心が音を立てて
隔てるのは鼓動と呼吸ひとつ
同じ記憶は繰り返せば弱く
ひっくり返せと求めあえぐ、無垢...

巡るのは風
伝うのは鳥の声
おんなじ地球(ほし)の元で
朽ちては還りゆく
浮かぶのは月
降り注ぐ雨となって
大地に根を張り待つ
豊かに実るるを
唄声が聞こえる
グナに導かれて...

小さな教会で僕は殺した
最愛の棺に堕ちて曖昧だ
教科書に載っていない秘密の言葉を
君とふたりで探していたいな
小さな教会で息を殺した
曖昧な救済は望んじゃいないさ
教科書に載っていない秘密の言葉を
君とふたりで探していたんだ
まだ見つからないや
さあ声を聞かせてよ...

掲げた掌は小さくなって
揺らいだ憧憬は遠くなって、走る
解けた指先は虚空を掴んで
夢見た英雄(ヒーロー)は疾うに霞んでしまった
狂った秒針はうるさく鳴って
野晒しの迎合が多くなって、嘆く
結んだ指先は呼吸を攫って
まるで無言の呪縛だった
午前二時、迷子を指して僕は嗤った
忘れてしまって...

明日目が覚めたら　きっと忘れるでしょう？
揺れる永遠を眺め　眠りにつきましょう
明日目が覚めたら　すべて夢ならいいな
揺れる日々を並べ　眠りにつきましょう
星が鳴って さあ終点の合図
溶けるように夢を見よう
宇宙に還り許しをくれたら
何も要らない
明日は晴れるかな　ぼくの好きな色かな
明日は逢えるか...