名がれ

移ろい往く季節　肌寒い陽の中で
忘れかけた今を思い出す
出会いと別れを　教えるこの場所に
心を彩る　花吹雪
褪せた薄桃の柔らかな微笑み
春の青空に溶けていった
桜花　其の華は零れ落つ弱い光
風に揺られて　詩を紡ぐ
舞桜　魅せたのは鮮やかに咲く命の夢
散りし涙が　私を映した...

大事なものは全て壊れていた
疲れ果てて　あなたの腕に縋った
生き急ぐなと　私の手を握り
暮れゆく地平線を指差した
途切れ途切れの心臓音
輝いた日々は　ここに生きてる
わかっているよ　わかっているけど
もう一度あの日に戻して
終わりを　涙の終わりを
探して歩いたけど見つからなくて...

白い窓の外から呼ぶ声
君が見てた景色 光り掻き消える
祈り 縋りついてた時間
今はもう空の彼方へと
蝉時雨の喧噪 木霊する
僕が見た夢
くたびれた足は 振り返る
せせらぎ背に 無邪気に駆けていく
君の未来は
既に ここになくて...

まだここに描き出せる
君とふざけ合った　枯れない日々を
もう　どうしても届かないよ
涙一筋　眠りへ誘う
迷い込んだ闇の中で
ただ一つ希望を守り切るために
震える身を鞭打ちながら
積み上げたすべて　壊し尽くした
頭に浮かんでは崩れていく
みんな楽しそうに笑ってる...

奏でる音　アナタを呼び　始まり告げる
優しい瞳（め）に魅了された　ワタシが映る
差し伸べる手に　繋がれるように
意識は夢へ　柔らかな空
ふいに翳った　見知らぬ女（ヤツ）に
警鐘が鳴る
惹かれたのなら　愛したのなら
ひずみに迷った　ワタシを今助けて
許せないのは　隠した我欲
アナタの言葉が　胸にこだま...

コワシマショウ　コワシマショウ
夜が明ける前に
コワシマショウ　コワシマショウ
愚かな世界を
今日は何を襲おうか
金に物言わせる権力者
それとも　貧しい村人達？
ようは誰でもいいのさ
この心満たされるなら
世界は欲望のオアシスだ...

いつでも繰り返し　語られる言の葉は
僕と君とが　触れ合った温かさだね
おはよう　こんにちは　こんばんは
調子はどうですか
元気だよ　君ほどじゃないけど
いつもの挨拶交わして
定型化した冗談飛ばして
何気ない日常のコマの中
繰り返されることは必然ではない
いつか終わりが来るのだから...

命は廻り　出会う
刹那の時間の中で
手を取り　そして離れていく
その息が尽きるまで
隠された歴史も
古びた栄光も
静かに根付く　この大地に
見えぬ未来を臨みながら
人は青空の下で
どれだけの笑顔を守れただろうか...