SM3

青にならない信号機
全部が黒い横断歩道
右見て左見て右見て万歳
両手も挙げれば安全かしらん
冷たい御冷を頂戴
頭痛薬はちっとも効かない
優しさ取っ払って頂戴
半分だけなら要らない　ない　ない
黄色いまんまの信号機
白の流れた横断歩道...

唇くっつけた
　　想像と違う
甘くないの
　　苦い　にがい
意味の無い
　　意味も無い
意味が無い
　　意味しかない
あいまいな
　　カッコワライ...

そうやってまた貴方は
携帯電話の向こうから
簡単な言葉を押し付けて
自己満足に浸るのね
何も知らないフリをした
私は唇噛み締めて
美味しくない口紅を
アスファルトへと吐き出すわ
信号は青になり　タクシーが通り過ぎていく
何も知らずに　何も知らずに...

さあさ今夜も始めましょうか
千と一夜の夢物語
貴方の為の御伽噺
千と一つの不可思議語
――alf laylah wa laylah
語り尽くせぬ言葉は鎖
王の心を絡めて絞める
薄桃色の唇を拓き
選ぶ夢恋　お好みはどちら
極彩色の世界をあげる...

泡になる最期の隙間
泡沫の恋
其れは人魚の観た夢
眠れぬ弓張り月　静寂を照らす
銀色の煌めきは　冷たく儚く溶けた
波を謳う声　惹かれ溺れ
終焉の先に　在る出逢い
悲劇も知らず　少女は恋をした
人魚姫　の　恋
静寂の潮騒が　誘う水底...