誰もいないプールに浮いたひとひらの命から模した
君の顔が宙に浮かんで「何をしてるの?」って笑った
昼下がりじゃどんな理由も誤魔化しきれないと悟って
飛び込んだ水しぶきさえも始まった夏のせいにしていた
泣き止んだ蝉の声に君はまた笑ったんだ
なぜか悲しそうだったその意味も知らずに
僕の前で伸びる影を見ていた
きっと今なら声も届くような気がして
やみくもだって構わないと君の背中を追い続けた
足早な日々の喧騒に急かされてまた走り出した
心に秘めた想いだってなぜか伝わる気がしたんだ
僕が叫んだ空に咲いた夢に手が届きそうなんだ
指先から僕に伝った時を止めるような鼓動で
儚く散っていくひとつの運命を知ってしまったんだ
当たり前のように笑ったその顔の凛々しさがいっそう
強がってる僕に刺さった棘だらけの君の手は痛いな
降り出した夏の雨に日が差したままの今日は
何を言えばいいかって考えていたんだ
絞り出した言葉は心の中
ずっと遠くになんて行かないでおくれよ
あやふやだって構わないと君がひとりで描き殴った
未来に僕がいなくたってきっと世界は変わらないな
それでもいいよこの季節は残酷なほどに一瞬で
溶けてしまいそうな想いはきっと今しか言えないんだ
遥か先で交わした約束も守れないと知る君は涙を
美しさだけで隠したまま「これが最後」と言った
明日ならばと先延ばした言葉じゃ
こんな運命もきっと引き離せやしないな
追いかけたって意味はないと誰かの声が聞こえたって
まだ取り戻せると思った君が見せたあの時の笑顔も
失くしてばっかの僕だって走らせたんだこの命を
何も言えずにいたあの日の鼓動が今も止まないんだ
生き急いだって届かないが今しかないと分かってんだ
君の手を取り走り出したなぜか涙がこぼれたんだ
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