取り戻したいと思ってしまう
写真を引き出しに仕舞う
僕の願いなんていつも一方通行だ

古びたノートには凝った設定　雑なイラスト
そこには2つ目の世界があって最高傑作だった
これが世に出て有名になってなんて夢見た日もあったが
今では焼き払ってしまいたい負の遺産だ

新品のノートには明日の予定　マニュアル通りの業務工程
自己満足すらできない駄作量産機と化した

現実しか見られなくなって　
楽しかったことがいつの間にか恥ずかしくなって
大人になれば何でもできると思ってたのに
年を重ねたらできないことばかり増えていった

古びた写真には笑顔の二人組
左の青年はもうこの世にいない
「生きる意味は何？迷惑ばかり掛けて未来に希望はない」
それが僕が聞いた彼の最後の言葉だった

背中を押すことも腕を引くことも　
その気持ちを否定するのはエゴか？
あいつが幸せでいればなんて矛盾を抱えて

どう言っていたら救えたんだ？
通じ合ってると思ってたのに　何も分からなくて
一緒に笑う明日を迎えたいだけなのに　
二度と手に入らない尊い未来　痛みばかり増えていった
　
抗うのはエスカレーターを遡行する程度の抵抗じゃなくて
膨大なエネルギーが必要で　未だ不可能で

それは不条理に見える道理
時間も命も取り戻す術は見つかってない
人生は割り切ることの繰り返しだが　割り切れないことばかりだ
不可逆に抗うより今を全うするしかない