母「あらおはよう」

男「おはよう」

女「おはようございます」

男「……何でお前がここにいるんだ」

女「だって私達家族公認の仲じゃない」

男「それはお前の夢物語だ」

女「夢の中でも男君に会えるなんて//」

男「夢も見れない程深く眠らせてやろうか」

母「まぁまぁ、男も女ちゃんも仲良くするのもそれまでにしたらどう? 折角のご飯が冷めちゃうわ」

女「はーい」

男「母さん。いまのやりとりで仲良く見えるんなら眼科に行くことをオススメするよ」

女「お義母様、お体の調子が悪いのなら私女が付き添いますぞ」

男「お前は黙って飯でも食ってろ」

女「なら早く男君も手をあわせてよ。ほらいくよ、せーの」

「「「いただきます」」」

母「どうぞ召し上がれ」

女「やっぱりお義母様の朝ごはんはおいしいです」

男「さっきから気になってるけどお義母さんと言うのはやめろ。誤解を招く」

女「え、どうして?」

男「ホントに何が何だか分からない、みたいな顔するのはやめろ。聞いたこっちが馬鹿みたいじゃないか」

女「へへー、男君のばかぁー」

男「こいつ……むぐ」

女「うるさい奴の口には卵焼きを押し込んでしまえ。古くからのことわざだよね」

男「そんな陳腐なことわざがあってたまるか」

女「だって犬も歩けば棒に当たるし、河童だって河に流れるんだよ。卵焼きだって口に押し込みたくもなるよ」

男「だいたい卵焼きじゃなくてもいいじゃねぇか」

女「押し込まれるなら美味しいものの方がいいじゃない。それともこの卵焼き美味しくない?」

男「まぁ美味いけど、それとこれとは話がべ……」

女「聞きましたかお義母様」

母「えぇ、聞きましたよ女ちゃん」

男「今度はなんだよ」

女「今あなたは卵焼きが美味しいと言いました。それに間違いはありませんね」

男「だからなんだよ」

女「それは私が作った卵焼きなんです」

男「へぇ」

女「もっと関心を持ちなさい!! 彼女の手料理だよ。もっと他に言うことはないの?」

男「彼女じゃないし。それに俺は卵焼きは甘いのより、しょっぱい方が好きだ」

女「えぇ、そんなぁ……」

男「残念だったな」

女「早起きしたのに」

男「そんなの知るか」

母「二人ともおかわりは大丈夫?」

男「俺、ごはんちょっと」

女「男君のは私がよそってあげるよ!!」

女「え、まじか。お前は女神みたいに優しい奴だな。俺の嫁にしてやるよ」

女「えぇ//……そんなぁ。分かりきってたことだけど改めて言われると照れちゃうよ//」

女「一生幸せにしてやるからな」

女「……うん!!」

男「おい、トリップしてないで帰ってこい」

女「ちっ。現実は厳しいままか」

男「ご馳走さま」

母「はい、お粗末様でした」

女「え、男君、早いよ」

男「お前がぺちゃくちゃ話してるからだろ」

母「ふふ、焦らなくていいのよ」

女「焦りますよ、お義母様」

母「あら、どうして?」

女「今日この後、男君とデートなんです」

母「あらあら青春ねぇ」

女「という訳でご馳走さまでした」

母「はい、お粗末様でした」

男「おい、早くしねぇと一人で行くぞ」

女「行けるもんならいってみやがれ。べーっ、だ。……ちょっと、何の躊躇もなく戸に手をかけないでよ!! 用意できるまで待っててね、絶対だよ!!」

男「……ったく用意なんて何があるんだよ」

母「男、女の子には色々準備があるのよ。それより、あんた卵焼き」

男「何だよ」

母「あんた、卵焼き嫌いなのにね」

男「……ッ!!」

母「意外と優しいとこあるのね」

男「……の、残すのは行儀悪いだろ。他に理由なんてねぇよ!!」

女「お待たせっ!!」

男「……ッ!」

女「あぁ……どうして先に行っちゃうのよ!! この靴履きにくいのに……。お義母様、行ってきます!!」

母「いってらっ……あらあら、言い終わる前に言っちゃったわ」

母「さ、お方づけでもしようかな」

fin

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【SS】 1 朝ご飯

ツンデレな男とひたむきな女。
そんな2人の日常を綴ったほんわかショートストーリー第1話。

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投稿日:2010/10/02 10:56:52

文字数:1,673文字

カテゴリ:その他

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