引っ越し先　向かいにあった名もなき公園は
鉄棒、ブランコ、ジャングルジム
何（なん）もかもさび付いていて
「さびさび公園」といつからか僕らそう　呼んでいた

3ａもない公園はいつも貸し切りで
僕と友と弟の
3人で暗くなるまで遊んだ
銀杏の木に当てれば　ホームラン

そんな古い公園の柵の先
30aもの空き地
進入禁止の柵を乗り越えた先は
無限に遊び尽くせる草っ原

あの頃は夢中で　3日先の事だって
考えた事もなかった
明日また遊べるかな？　遠足のおやつ300円♪　
それだけ未来は狭く　
ただ瞬間（いま）だけに夢中だった　


14インチ猛スピードでこぐ弟を走って追いかけた
錆びに黒ずんだ掌　一番高い鉄棒に手が届いた日

3歳下の弟は親からの一番のプレゼント
ふざける時も叱られる時もいつでも一緒だった
今でも仲良しさ

3年後　跡地　規則正しく　3階建ての団地　　　　　　　
散々僕ら遊びつくしたよなぁ
さびさび公園よ空き地よ　ありがとう

喧嘩して怒った（いかった）後
大泣きして30分もたたず仲直りして
1秒を惜しんで遊ぶ　怒った事など忘れて
それだけ過去は短く　　　　
ただ瞬間（いま）だけが貴重だった　


あれから過去も未来も長くなって　
過去の後悔　未来の心配　　
瞬間（いま）以外の事　考える時間増えちまったが
それだけ夢は近くに　行ける世界広がってった


チャイムが4時半を告げる　遊び足りない夕暮れ
(呼び鈴)チャイムの返事がなく　涙ぐんで帰った昼過ぎ
缶蹴り　木登り　靴飛ばし　ボール探して草分け　　
散歩中　子供らの声　不意に思い出すあの
30aと1日の世界を　友よ弟よ両親よ
大好き　ありがとう


さびさび公園の思い出はさんさんと輝き
さび付く事ない　大事な宝物