片雲　inst

左手が悴んでいた
気付けば時が経ったようだ
今日へと至るまでの道のりを
思い出していた
いつの間に過ぎる憧憬を
僕は抱き締め続けたいと
叶わない妄想に縋っていた
目を塞いだままで

僕は独り空の下
いつまでも変わらない世界に飽きていた
目眩く星や浮かぶ雲を
胸に大事に仕舞っていた
僕は今何をする？
案外選択肢は無限にあるようで
とうの昔に描いてた夢を
掘り返すのも悪く無いな　なんて

分からないまま足を進めても
きっと明るい未来は無いと
ただ独り思い込んで歩いたが
そんな事ないよ
世界は難しくないものさ
だって空は青いままだろ
胸に潜んだままの憧憬を
忘れぬように


僕は独り青を見た
変わる事のないこの世界に安堵して
つまらない日々はもう捨て置いて
また明日って手を振って
僕はただ目を開ける
かつて見ることの出来なかった風景を
「いつか笑えるさ」って妄言を
振り撒いて日々を過ごしていこう

僕は今前を向く
歩き出した景色を忘れぬように願う
頭に流れ出した旋律が
いつの日にか風となっていく
僕はただ笑えたら
そんな微かな願いを持って今日も前に
果てしなく広がる空の下
ただ独り其処に立っていた　なんて