ジャケット

この人生、良いこと有りはしたか。
等閑にしてばかりさ。良いこと無いよな。
あれやこれや確かめようとしても、
等閑でない平行世界の私は返事もせず、暇だ。


「あの日」だとか。他にも「あの時」とか。
「選ばなければ」。はたまた「捨てなければ」とか。
歳を取る程に歳よりも多く、
だからといって何をするでもないままだ。

あぁ、どうやって死ぬかさえ等閑のままか。
いや、考えるべきか。最期の時ぐらい。
寒空咳が溢れた独りの遺書。

あぁ、そうだ。
春ならば、桜の樹で首を括ろう。
散る桜の花と共に、命の幕を引いてしまいたい。
夏ならば、南の海原に沈もう。
寄る波に抱かれ、砂へと還ってしまいたい。
咳が、出るな。


今限りは等閑ではないことと、
死に向かっていることが同時に在るが、
それが良いか悪いか考えるのは、
いいじゃないか、等閑のままにしておこう。

早朝の道路にカラスの残骸。
等閑に生きてなくても、最期はそうだ。
嫌だな、最期は綺麗で在りたい。
こんな生きた屍で許されるなら、

あぁ、どうか、
秋ならば、彩葉の谷に身を落とそう。
照る彩りを仰ぎ見て、地を知らず無くなってしまいたい。
冬ならば、独りの部屋で朽ちようか。
降る雪を、床で見たまま眠ってしまいたい。


死ぬのはクソだと誰が言ったか。
振りかざした倫理観ほどクソなものは無いな。


許されろよ、最期ぐらい。


今ならば、今生の記憶を消したい。
「あいつなら哀しむかも」などという思いを、削いで死にたい。
今ならば、今生の縁を消したい。
誰にも何も響かず、深と果てたい。

いずれその時が来て私が死に、
その後にこの身がどうなろうと構わない。
だが、残滓だけでもせめて風、風となりたい。

あぁ、暇だな。


あーあ。

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ライセンス

  • 非営利目的に限ります

シニカタノイキカタ

オリジナル32作目の曲です。
IAの5回目の誕生日祝いでの投稿がこんな曲なのは通常運転。
歌っている人は「クソ」と言ってますが、それでもやっぱり死んじゃダメだと思うんですよね。

閲覧数:238

投稿日:2017/01/27 00:21:32

長さ:04:47

ファイルサイズ:5.5MB

カテゴリ:ボカロ楽曲

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