女「男君、男君!!」
男「何だよ帰ってくるなり騒々しいな」
女「さ、さっき男君に色目使って話してた女は誰なの!?」
男「……色目?」
女「そう!! 男君を誘惑してやろうフェロモンがぷんぷん出てたよ!!」
男「……もしかして喫茶店か?」
女「そう!! あの苺の大きいショートケーキがある私達の思い出のお店!!」
男「……確かに話してたが」
女「浮気を認めたね!!」
男「浮いてねぇよ」
女「男容疑者、何の話をしてたんですか?」
男「あぁ、告白された」
女「何だ告白かぁ……。って、えぇ、告白!?」
男「あぁ」
女「そんなの聞いてないよ!!」
男「今言ったじゃねーか」
女「し、信じられない!! どこの泥棒猫!?」
男「俺の先輩な」
女「むー、それで返事は!?」
男「断るに決まってんだろ」
女「でも綺麗な人だったじゃん!!」
男「おまけに趣味も何というか女性ぽかったしな」
女「どんな?」
男「茶道と読書と料理」
女「あー私とかぶってるね」
男「お前と正反対だ」
女「りょ、料理は出来るもん!!」
男「料理のベクトルが違うんだよ。その人はイタリアンとか作るんだって」
女「イタリアンってサイゼリヤ?」
男「そう言ってる時点で駄目だろ」
女「じゃあもう男君に料理なんか作ってあげないもん」
男「すねるなよ」
女「ふーんだ」
男「じゃあ先輩に作ってもらおうかな」
女「そんなのやだやだ!!」
男「冗談だ」
女「いじわる……」
男「でもお前良く見付けたな」
女「私、男君しか見えないもん」
男「何か今日オーバーだな」
女「だってぇ……」
男「なんだよ……ってうわっ!!」
女「心配なんだもんっ!!」
男「おい、泣くなって。抱き着くな」
女「男君、変に冷静キャラだからいつも周りからモテてて、心配なんだよっ!!」
男「変に冷静ってお前な」
女「ホントのことじゃん!!」
男「じゃあ何だ。俺が『女ー、お前だけを愛してるぜー!!』とか熱く言えば満足するのか?」
女「それは……」
男「嫌だろ?」
女「えへっ//」
男「まんざらでもない顔するな」
女「だってそういうこと男君に言われたことないなぁ、って」
男「まぁ、告白されたことは気にしなくて良い」
女「でも、これからその先輩と会うこともあるんでしょ?」
男「まぁ間柄、頻繁にな」
女「ひどい!!」
男「大丈夫だ。その先輩も大人だから」
女「ふーん」
男「何だその明らかに疑ってます!!っていう目は」
女「男は上半身と下半身が別の生き物だから信用できません」
男「どこでそんな知識を身につけてきた」
女「だから罰として」
男「何の罰だ」
女「ケーキおごって」
男「もしかして、初めからそのつもりだったか?」
女「そ、そんなことないよ。心配したのはホントだよ」
男「ほう」
女「でも疑ってるのは嘘」
男「お前そんなこと言ったら今のやりとり全部無駄になるぞ」
女「私、男君のこと信じてるからっ」
男「……女」
女「何だかんだで私のこといつも心配してくれてるし、私のわがままにも付き合ってくれてる。ダメだよね、こんなことで心配になってる私……」
男「馬鹿かお前は」
女「馬鹿だもん」
男「お前とだから一緒にいるんだろーが」
女「……えっ?」
男「ほら、ケーキ食いに行くぞ」
女「今、なんて……」
男「ケーキ食いに行くぞ」
女「もう一個前!!」
男「馬鹿かお前は」
女「その二つの間!!」
男「忘れた」
女「違う、これだよ!!」
『お前とだから一緒にいるんだろーが』
男「……おい、お前なんで携帯に録音してるんだよ」
女「えへへ// 朝の目覚ましにしよ//」
男「消せ」
女「やだ」
男「ケーキ無しにするぞ」
女「甘いケーキよりも甘い言葉だよ!!」
男「ったく、そういうところはお前だよな」
女「なになに、でもそういうところが好きなんだって? 照れちゃうよ//」
男「……呆れて何も言えねーよ」
女「でも次、またこんな浮気騒動があったら私が男君を逮捕しちゃうからねっ」
男「その前に不法侵入で俺が訴えてやるよ」
女「ちっちっち。甘いね男君。愛は法では裁けないんだよ?」
男「俺が裁くから問題ない。女被告に判決を下す」
女「横暴だよっ」
男「俺と今からケーキを食べに行くの刑に処す」
女「……異議なしっ!!」
男「ほら、出かけるから立て」
女「うん!!」
男「ったく、飼育員の気持ちが分かるぜ……」
女「男君」
男「今度は何だ」
女「ありがとう」
男「礼ならお前の分のショートケーキの苺からもらっとくよ」
女「え、そんなのダメ!!」
母「あら出かけるの?」
男「あぁ、晩御飯までには帰るよ」
女「男君、ショートケーキの苺は絶対あげないからねっ!!」
母「じゃあ気をつけてね」
男・女「行ってきます」
バタン。
母「……全く、男は女ちゃんにだけは甘いのね。さっきショートケーキ食べたばっかりなのに」
母「さ、夕飯の支度しようかな」
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